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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第135回 ムラサキヤシオツツジ

名前の通り 花鮮やか

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ムラサキヤシオツツジの標本


 ムラサキヤシオツツジ(Rhododendron albrechtii Maxim)は、ムラサキヤシオ、ミヤマツツジともよばれるツツジの仲間でである。
「ムラサキヤシオ」は漢字で「紫八塩」、または「紫八汐」「紫八染」とも書き、回数を重ねて紫色の染汁に漬けてよく染め上げたという意味である。
花の色はその名の通り鮮やかな紫色で、春になると葉が出てくるのと同時、または葉より早く花を咲かせる。樹高1~3mの落葉低木で北海道、東北地方、中部地方の主に日本海側に分布している。
 ムラサキヤシオツツジの標本は青森県立郷土館自然展示室「白神山地の植物」のコーナーに展示している。そのほかにも白神山地由来の植物の標本として20種類ほどを展示している。来館した際にはご覧いただきたい。
(県立郷土館主任研究主査  豊田 雅彦)
by aomori-kyodokan | 2016-03-03 09:53 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第133回 原油

かつて県内でも採掘

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石油採掘跡地を示す看板(五所川原市前田野目)五所川原市
前田野目産「原油」



 写真のビンの中の黒い液体は、五所川原市で採れた原油。県内でも石油(原油)が採れるのである。採取時には水や泥が混じっていたが、それを取り除いてある。この場所では1905(明治38)年に手掘りによる採掘が始まり、明治末期にドラム缶で約50本の石油がくみ上げられた記録がある。跡地には、今でも「油発掘跡」と書かれた看板が立っている。
 津軽山地の西側及び東側では、沢沿いの崖に油がにじんでいるようすや、沢水の表面に油膜が見られることがある。この地域では、1921(大正10)年頃から、石油会社や個人によって石油の試掘が行われた。第二次世界大戦中には、大釈迦‐鶴ヶ坂間のトンネル付近において深度180mの試掘が行われ、ドラム缶30本ほどの原油が採掘された。津軽地域で採れる石油(原油)は、新潟県・秋田県の油田で採れるものと全く同じだといわれるが、産出量が少ないためか石油開発には成功していない。
(県立郷土館学芸課副課長 島口 天)
by aomori-kyodokan | 2016-02-18 08:57 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第130回 コクゾウムシ

米粒を餌にする害虫

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コクゾウムシ


 昆虫の中には私たちの生活と密接な関係にある種類も多い。衣類、食品、建材、書籍など、私たちの周りにある物の殆どは何かしらの昆虫等が住み着いている。台所の米びつの中に発生する「コクゾウムシ」もその一つで、貯穀害虫(ちよこくがいちゆう)と呼ばれている。
 コクゾウムシの成虫は体長が3ミリメートル前後で米粒の大きさに比べて小さく、幼虫は更に小さい。成虫の寿命は長く約4ヶ月と言われているが、幼虫は卵から成虫になるに約1ヶ月かかる。幼虫成虫共に米粒で生活しており、成虫の雌は一個体で200卵を米粒一個づつに口吻(こうふん)で穴を開けて一個の卵を順次産卵する。このため、米びつにコクゾウムシが入り込むと、大発生して蓋を開けた私たちを驚かせることになる。近似種で同様の生態をする更に小型のココクゾウムシは国内の系統は殆ど飛ばないが、コクゾウムシは飛ぶことは出来、分布を広めている。近年は台所にシステムキッチンが普及し、コクゾウムシも見かけなくなった。
 米粒大の昆虫は、甲虫の世界では小型の種類に属している。昆虫の大中小の大きさの違いがわかる、企画展「大・中・小~くらしの中のスケールあれこれ~」を開催中で、自身の目でその大きさを確認して見ていただきたい。
(県立郷土館学芸員 山内智)


by aomori-kyodokan | 2016-01-28 14:50

ふるさとの宝物 第122回 オオウラヒダイワタケ

氷河期の生き残り

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自然展示室にあるオオウラヒダイワタケの写真パネル


 国指定天然記念物に「縫道石山・縫道石の特殊植物群落」がある。縫道石山は標高626m、7km南にある縫道石は標高591mで下北半島の西岸に位置する岩山である。ここにはオオウラヒダイワタケ(地衣類イワタケ科)の産地がある。縫道石山で昭和31年に発見され、このイワタケは北アメリカ東岸にあるものと同じであることがわかり、オオウラヒダイワタケと命名、その後縫道石でも発見された。オオウラヒダイワタケは氷河期の生き残りであり、この一帯がアジア分布の南限とされている。
 発見当初は、人知れず保存しようと場所を明らかにしなかった。しかし、近くのヒバ林が伐採されるなど環境が変化、絶滅を危惧し、天然記念物として保護することとなった。縫道石山・縫道石は低い標高ではあるが、北方系の植物が自生していて特殊植物群落として大変貴重である。
 自然展示室では、「天然記念物(植物)」「北限・南限の植物」のコーナーがあるので是非ご覧になってほしい。
(県立郷土館主任研究主査 豊田雅彦)
by aomori-kyodokan | 2015-11-26 14:42 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第120回 火山灰「十和田a」

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三戸町内で採取された「十和田a」(三戸町教育委員会提供)


 県を代表する観光地のひとつ「十和田湖」は、活火山「十和田」のカルデラ湖であることはよく知られている。この十和田火山は、今からちょうど1,100年前の西暦915年(平安時代)、日本列島における過去2,000年間に起こった火山噴火の中で、最大規模の噴火を起こしたことをご存知だろうか。
この大噴火で噴出した火山灰が「十和田a」と呼ばれており、東北地方に広く分布している。火山灰は、噴火によって放出された細かい鉱物結晶やガラス、岩片等であるため、十和田aが降った地域に住んでいた人々は大きな被害を受けたはずである。
十和田湖周辺に伝わる「十和田湖伝説」では、湖の主の座をめぐって八之太郎と南祖坊が凄まじい戦いを繰り広げる。この戦いが十和田火山の大噴火を表し、大噴火が元になって伝説が生まれたという説もある。平安時代の東北の人々に、さまざまな面で大きな影響を与えた大噴火だったことがうかがえる。
 この詳細については現在、青森県立郷土館エントランスホールにおいて、来館者向け小展示という形で紹介しており、11月29日(日)まで無料で観覧できる。
(県立郷土館学芸課副課長 島口 天)



by aomori-kyodokan | 2015-11-12 10:59 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第117回 ニホンザル(ホンドザル)

雑食の食いしん坊、食害も

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県立郷土館に展示されているニホンザルの剥製


 ニホンザルは,日本にのみ生息する固有種である.本州,四国,九州や屋久島,金華山島などに生息し,青森県が北限である.ニホンザルは更に本土に生息するホンドザルと屋久島のヤクシマザルの亜種に分かれている.青森県の個体は亜種ホンドザルである.
 青森県では,下北半島,津軽半島,白神山地とこれに連なる地域の三つに生息域に大きく分かれている.下北半島の集団は北限にあたり,天然記念物「下北半島のサルおよびサルの生息北限地」に昭和四十五年十一月十一日に指定された.また,平成二十二年に改訂された,青森県レッドデータブックでは下北半島と津軽半島の個体群を地域限定希少野生生物に指定した.
 広葉樹林に群れをつくって遊動生活をしているが,中にはハナレザルやヒトリザルと呼ばれる単独で行動する個体も見られる.雑食性で木の実,果実,葉などの他に昆虫や小動物も捕食する.農作物の食害も見られ問題となっている.
 青森県下北半島には古くから地元の研究者を中心に多くの調査研究がなされている.特に,個体数や群れの移動の調査など行われ多くの成果を上げている.
 郷土館の自然展示室にも,青森県産のホンドザル(事故死)が展示されている.
(県立郷土館学芸員 山内智)
by aomori-kyodokan | 2015-10-22 11:22 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第109回 透明樹脂標本

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ヤマメの透明樹脂標本。下からの姿もじっくり観察できる


 自然展示室には魚の展示コーナーがある。「ヤマメ」はサケ科の魚で、川の上流域に生息し「渓流の女王」と呼ばれている。「ヤマメ」は「サクラマス」と同種の魚であり、ヤマメは川で過ごし、川から海へ下った個体がサクラマスである。
ヤマメの側面には「パーマーク」と呼ばれる楕円形(だえんけい)の模様が特徴的であるが、サクラマスは、海へ下る頃にはこのパーマークが消え、銀色の体になっていく。側面からパーマークを見てヤマメと気づく人は多いと思われるが、下から見てヤマメと判断するのは難しいのではないだろうか。
 そこで、様々な角度から生物を観察して欲しいという願いを込め、ヤマメを含めて6種の魚を透明樹脂に封入した標本にして展示している。今後、直接手で触れなくても観察できるよう両生類・爬虫類及び甲殻類の樹脂標本を作成・展示していく予定である。是非、一度足を運び、手にとってじっくりと観察して欲しい。
(県立郷土館主任研究主査 豊田雅彦)
by aomori-kyodokan | 2015-08-27 11:31 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第107回 ケンヨシホタテ

南部町で産出する化石

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南部町剣吉産ケンヨシホタテ(殻高16.3センチ)



 ケンヨシホタテは、南部町の「剣吉(けんよし)」に分布する地層から産出するホタテガイのなかまの化石である。現在のホタテガイのなかまには、アズマニシキのように岩などに付着して生活するものや、ホタテガイのように海底に横たわって生活しながら敵が来ると泳いで逃げるものがいるが、ケンヨシホタテの生活様式ははっきりとわかっていない。
同じグループに分類される唯一の種に、700万~100万年前の東北地方~北西太平洋域に分布していたタカハシホタテがあり、これの北海道やサハリンの標本は、右の殻がとても重厚でよく膨らむという特徴をもつ。海底に横たわって生活し、成熟するまでは泳ぐことができるが、成熟後は殻が膨らんで重厚になり、海底からわずかに左殻が出る程度に埋れて生活していたと考えられる。
これに比べてケンヨシホタテの右殻は膨らみが弱く、重厚さがないものの、タカハシホタテと近縁であることから同じような生活をしていた可能性は高い。
(県立郷土館学芸課副課長 島口 天)
by aomori-kyodokan | 2015-08-13 13:35 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第104回 ニホンザリガニ

本県産を基に命名?
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岩木山麓で採集されたニホンザリガニ(体長約5センチ)


 本県には2種類のザリガニが生息している。小型種で日本在来種のニホンザリガニと、大型種で外来種のアメリカザリガニである。
 ニホンザリガニは北海道・本県および秋田北部と岩手北部に生息している。清流や湧き水を好み、渓流の落ち葉などを主な食べ物としている。親になるまで5~6年もかかり、産卵数も少なく、環境変化の適応能力も乏しい。個体数の減少が危惧されており、県レッドデータブックでは重要希少野生生物に指定されている。
 ニホンザリガニは古くから知られ、脱皮時期に胃壁にできる胃石が漢方薬として重宝されていた記録が、すでに江戸時代に残されている。その中に本県に分布する記述も見られる。
 学名は1841年にオランダの来電にある博物館の学芸員によって付けられた。その標本は江戸時代に来日したオランダのシーボルトが入手して本国に持ち帰ったもので、今も同博物館に補完されている。
 この標本は今も同博物館に保管されているが、産地などの明細な記述はない。しかし、その後の研究で、本県西部の個体に特有に見られる尾部の切れ込みや胃石の発達状況から、本県西部(津軽産)で6月ごろ採集された個体であると推測されることが分かった。
江戸時代後期に本県産ニホンザリガニの標本がオランダにまで渡っていたのである。
(県立郷土館学芸員 山内智)
by aomori-kyodokan | 2015-07-23 16:58 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第96回 シラガミクワガタ

植物で唯一「白神」の名
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県立郷土館に展示しているシラガミクワガタのレプリカ


 この花は、山地の岩場に生えるオオバコ科の多年草で、初夏にきれいな紫色の花を咲かせる。地下茎から数本の茎が伸び、高さは20cm前後になる。山地といっても、どこの山地でも自生しているのではなく白神山地にのみ自生する固有種である。それが「シラガミクワガタ」という名前の由来となっている。
 このシラガミクワガタは、青森県立郷土館が開館直後だった1973年頃、当時学芸課研究員だった原子一男氏が林道沿いで発見した。当時はミヤマクワガタの品種のミチノククワガタであるとされた。それから20年経ち、1993年にミヤマクワガタの変種のシラガミクワガタと発表・命名されたのだ。ミチノククワガタと比べると花が大きく葉の縁のギザギザ(鋸歯、きょし)が規則的になっていることで区別できる。
 シラガミクワガタは、青森県のレッドデータブック(2010年改訂版)で重要希少野生生物に区分されている。採取などにより激減しているためである。「白神」の名を冠しているこの植物にいつまでも自生していてほしいと願うばかりである。 
 なお、青森県立郷土館の自然展示室にはいつでも見ることができるようレプリカを展示している。
(県立郷土館 主任研究主査 豊田雅彦)
by aomori-kyodokan | 2015-05-28 15:01 | ふるさとの宝物