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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第31回 「亜墨利加国之人物」船頭之者

確かな画力と聞き取り

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「異国船出帆之図」よりアメリカ人船頭(縦34.2cm×横24.4cm)

 嘉永元年(1848)3月20日、三厩沖に異国船が2艘現れ、昼ごろには今別の袰月(ほろづき)沖にさらに3艘が現れた。どうやら、捕鯨船のようである。この時のようすのスケッチが、本図を含む4枚組の「異国船出帆之図」である。アメリカ人船長や水夫、彼らが使用するボート、星条旗などを描いたもので、画者が誰かは不明だが、そのデッサン力には確かなものがある。
 船がなかなか立ち去らないので、弘前藩は警戒を強めた。25日、宇鉄村の漁師が近づくと、船員らは好意的に迎え、船の大きさや乗組員数を教えてくれた。酒や食料を提供すると大いに喜んだが、その際、身欠きニシンを「ヘツシヱ」(fish)、握り飯を「ウラヱシ」(rice)、石を「シツトン」(stone)と呼んだ、と注意書きにある。RとLの発音の違いを書き分けているのだから、聞き取った方もなかなかのもの。
(前県立郷土館研究主幹〈現 青森商業高等学校教諭〉本田伸)
by aomori-kyodokan | 2014-01-30 10:22 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第30回 ウミネコのジオラマ

抱卵、子育てを再現

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蕪島のウミネコを再現した「夏」のジオラマ


 青森県立郷土館は2013年に40周年を迎えた。40年の間に新しい資料の展示などにより、展示室の中は様変わりしてきた。しかし、40年間変わらないものもある。その中の一つが、自然展示室の中にある「夏」「秋」「冬」のジオラマである。その中の「夏」のジオラマは、八戸市の蕪島で繁殖するウミネコの様子を再現している。
 日本国内には、ウミネコの繁殖地は他にもある。その中でウミネコの営巣を間近で見ることができる唯一の場所として「蕪島ウミネコ繁殖地」が国の天然記念物に指定されている。ウミネコは2月ごろから飛来し、4月下旬から産卵、6月上旬にはヒナがかえり、8月になると南方に旅立っていく。しかし、実は越冬するウミネコもいて、冬にも見ることができる。
 1年中いつでもウミネコの抱卵からヒナの子育ての様子を観察することができるようにとの思いから、「夏」のジオラマはつくられた。青森県立郷土館では、新しい「ふるさとの宝」はもちろんのこと、開館当時からの貴重な「ふるさとの宝」も展示している。
(県立郷土館主任研究主査 豊田 雅彦)
by aomori-kyodokan | 2014-01-23 10:37 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第29回 博物館実習

「郷土」伝える若手育成

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博物館実習で資料の計測について学ぶ実習生


 県立郷土館では、毎年8月中旬に博物館実習を行っている。博物館実習は、学芸員(博物館で資料収集・保管・展示などに携わる専門職員)の資格を取得するために必要な実習である。本年度は県内在住および本県出身の大学生を中心に18名が参加した。
 当館での博物館実習は、実習生が研究している専門分野を集中的に学ぶのではなく、考古・自然・歴史・民俗・美術・先人産業・図書管理・教育普及活動など、幅広い分野についての実習となる。また、学芸員にとって必要な法令や資質についての講義もある。特に重視しているのがコミニュケーション能力である。博物館で働き研究するためには、多種多様な専門分野の研究者との関わりが必要になる。実習生には、多くの人と関わって仕事が成り立っていることを実習を通して伝えている。
このほか、普段見ることのできない収蔵庫の中や、そのほかの施設設備を見学して、博物館の機能などについて理解を深めてもらっている。
 県立郷土館は県民と郷土を結ぶ総合博物館である。郷土の歴史・自然・文化を未来永劫伝えていくのが真の役割であり、それを担うのが学芸員である。実習を通して、若い世代を育て学芸員のバトンを繋いでいくことが、当館の使命の一つである。
(県立郷土館学芸主査 伊丸岡政彦)
by aomori-kyodokan | 2014-01-16 10:35 | ふるさとの宝物

ふるさとの宝物 第28回 えんぶりの烏帽子

囃子にあわせ豊作を願う

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県立郷土館で展示しているえんぶりの烏帽子


 三八地方を中心に行われるエンブリは、世の中の豊年満作を願う、小正月の予祝行事が民俗芸能化したものである。馬の頭を模した烏帽子を被った太夫たちが、囃子と親方の音頭に合わせて、摺りと呼ぶ田作りの所作を演じる。親方はザイと呼ぶ棒を振り、太夫演じる馬を采配するとされる。途中、子供たちも加わって松の舞、恵比寿舞などの祝福舞も披露される。
 各ムラのエンブリ組は、産土神社で演じた後、地元各戸を訪れるほか、マチにも繰り出して門付けを行う。2月17日から20日にかけて、八戸市街ではあちこちから、エンブリの囃子と観衆の拍手や笑い声とが聞こえ、のどかな新春の風景が展開する。
 写真は、エンブリの烏帽子である。郷土館開設準備中の昭和46年に寄贈されたもので、民俗展示に必須の資料として、いち早く収集されたものと察せられる。烏帽子の内側に「上頃巻沢」(現八戸市南郷区)の墨書があり、本来は当地の神社に、隠居様として静かに安置されていたものと思われる。
(県立郷土館学芸課長 古川実)
by aomori-kyodokan | 2014-01-09 10:32 | ふるさとの宝物