盆になると県内の各家では仏様用のお弁当を作って墓前に供える。「法界弁当」「法界折」の名で、スーパーにもズラリと並ぶ。近年はペットの墓にも手作りの「法界弁当」を供える光景が見られる。中身はペットフードだ。
あらためて「法界」とは何だろう。法界衆生、無縁法界などの仏教語に見えるが、「ほかい」という古い日本語があることにも注目したい。この言葉は霊魂に供物を献ずること、すなわち「たむける」という意味を持つ。青森では今も墓参のことを「ホガイする」「ホゲする」という。
転じて、食物を家の外へ持ち出す容器を「行器」(ほかい)と言う。まさに弁当である。
本県での都市部で弁当形式が普及したのはおおむね昭和40年代。昔はカボチャやブドウなどの葉を皿代わりにして、料理や菓子を供えていた。
なぜ供物が「弁当」(折詰)化したのか。第一に持ち運びの便がよい。種々の食物を詰め合わせ、そのまま供えることもできる。また、本県や近隣諸県のように調理済みの食物(熟饌(じゆくせん))を墓前で食べる地域では、弁当スタイルは都合がいい。近年は供物の持ち帰りという点でも、時代の要請にかなうものとなった。
(青森県立郷土館学芸主査・増田公寧)
写真:墓前に供える各地の弁当の一例。左上から時計回りに北海道(甘納豆の赤飯)・青森(赤飯)・秋田(赤飯と赤ずし)・岩手(団子と生米)