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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第132回 南部下北半島真景図・津軽外ヶ浜真景図

北方警備の要所描く

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南部下北真景図「蛇浦のほとり切通の望」


南部下北半島真景図・津軽外ヶ浜真景図は、江戸時代の絵師大野文泉が描いたもので、2巻に分かれ、それぞれ16枚の絹本彩色画で構成されている。
 絵師の大野文泉は白河藩士で藩主松平定信に仕えた。彼は文化4年(1807)8月に奥州・羽州方面の古社寺・古武器と真景(土地の景観)の写生を命じられ、仙台~南部~秋田をめぐり、中尊寺の古物、遠野南部家や櫛引八幡宮の甲冑を写生した。文泉に同行した田井元陳(定信の側近)が書いたと思われる「ふところ日記」(東北大学附属図書館蔵)の末尾には、櫛引八幡宮以降の行程が列挙されていて、下北半島を訪れた後に津軽半島を回ったことが確認できる。
文化4年は、4月に幕府が箱館奉行及び弘前・盛岡両藩に宗谷防衛を指示し、5月にはロシア船の利尻島への進入に対して奥羽諸藩に蝦夷地出兵を命じるなど、ロシア船の来航に対する北方警備が強化されていく時期である。描かれた場所のほとんどが津軽海峡に面した下北半島及び津軽半島の沿岸部であり、当時の情勢を併せ考えると非常に興味深い。
 また、アットゥシ(アイヌの衣服)を着た人物がたびたび描かれていることから、描かれた地域におけるアイヌ民族との交流を考察する上でも有益な情報を提供する資料である。3月3日から開催の新収蔵展で公開予定だ。
(県立郷土館学芸課副課長 竹村俊哉)
by aomori-kyodokan | 2016-02-11 09:08 | ふるさとの宝物
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