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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第67回  オオゴキブリ

きれいな森に住む希少種

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森林性のオオゴキブリ


 ゴキブリは誰でも知っているが、その色や体型、歩き方等から嫌われる昆虫の代表である。しかし、ゴキブリの祖先は化石などから3億年前の古生代石炭紀にはすでに地球に生息していたことが確認されている。日本国内からは52種7亜種のゴキブリが知られているが、青森県内にはオオゴキブリ、ヤマトゴキブリ、クロゴキブリ、チャバネゴキブリの4種類が生息している。
 この中のオオゴキブリは、青森県内での記録は世界遺産地域周辺地区である十二湖から最初に確認された。他の三種類とは異なり森林性で人と生活を共にすることは殆どない。
体長が約4cmもあり、頑丈な虫で体は厚く硬く、体によろいを着たようである。森林の朽ち木の中に生息するため、成虫は翅(はね)の先端がすり切れ短くなった個体が多く見られる。
朽ち木は内部がスポンジ状で適度の湿り気が必要だが、腐り具合や堅さ、湿り具合などに好みがあるため、森林内の全ての朽ち木に生息するわけでなく、限定される。生息地も少なく、県内では採集困難な昆虫である。青森県レッドデータブックでは稀少野生生物に指定されている。
 ゴキブリというと汚い昆虫と直感的に思われるが、オオゴキブリは森林性で汚れも少なく、オオゴキブリの棲む森は、環境の条件の良い森林で、保全管理の良い森でもある。
(県立郷土館主任学芸主査 山内智)
by aomori-kyodokan | 2014-10-09 17:28 | ふるさとの宝物
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