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ふるさとの宝物 第104回 ニホンザリガニ

本県産を基に命名?
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岩木山麓で採集されたニホンザリガニ(体長約5㌢)


 本県には2種類のザリガニが生息している。小型種で日本在来種のニホンザリガニと、大型種で外来種のアメリカザリガニである。
 ニホンザリガニは北海道・本県および秋田北部と岩手北部に生息している。清流や湧き水を好み、渓流の落ち葉などを主な食べ物としている。親になるまで5~6年もかかり、産卵数も少なく、環境変化の適応能力も乏しい。個体数の減少が危惧されており、県レッドデータブックでは重要希少野生生物に指定されている。
 ニホンザリガニは古くから知られ、脱皮時期に胃壁にできる胃石が漢方薬として重宝されていた記録が、すでに江戸時代に残されている。その中に本県に分布するという記述も見られる。
 学名は1841年にオランダのライデンにある博物館の学芸員によって付けられた。その基になった標本は、江戸時代に来日したシーボルトが入手し本国に持ち帰ったもので、今も同博物館に保管されている。
 この標本には産地などの明細な記述はない。しかし、その後の研究で、本県西部の個体に特有の尾部の切れ込みや、胃石の発達状況から、津軽地方で6月ごろ採集された個体であると推測されることが分かった。江戸時代後期に本県産ニホンザリガニの標本がオランダにまで渡っていたのである。
(県立郷土館学芸員 山内智)
by aomori-kyodokan | 2015-07-23 16:58 | ふるさとの宝物
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