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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第102回 鉤燭(かぎしょく)

安全への工夫こらす


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 県立郷土館が学校を対象に行っている「出前授業」で人気のある授業が「古い道具と昔のくらし」である。小学校3年生を対象に、衣・食・住に関係する多くの古い道具を紹介し、先人の工夫を知ってもらう。その中で、子供の興味を引くのが「鉤燭」(かぎしょく)という照明器具である。
 写真のように、鉤燭は窓の縁や梁(はり)にかけるタイプ(写真左)と柱に打ち込むタイプ(写真右)がある。ちなみに鉤燭の「鉤」とは、金属製の先が曲がった棒状の部分のこと。「燭」は明かりのことでろうそく
などをさす。
 かけて使う鉤燭は、窓の縁や梁のサイズにぴったり合うと安定するが、サイズが合わないときはブラブラし、地震などが発生したときなどに床に落ち火事になる可能性が高い。だから、写真のように「火要慎(火の用心)」と書かれてある。一方、打ち込んで使う鉤燭は、柱に直接打ち付けることで、ブラブラすることもなく安全に照明器具として使用することができる。
 子供たちに、「どちらが安全に使えますか」と質問すると、柱に打ち付けるほうの鉤燭と答える。同じ道具でも安全に使用するために工夫をこらす先人の知恵が子供たちに伝わった瞬間である。
(県立郷土館学芸主査 伊丸岡政彦)
by aomori-kyodokan | 2015-07-09 10:10 | ふるさとの宝物
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