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青森県立郷土館ニュース

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写真で見るあおもりあのとき 第83回「木野部峠のトンネル 戦後は生活道路に」

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↑戦後、生活道路として利用された第1木野部トンネル=昭和33年、佐々木直亮氏撮影



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↑国道279号と後方にそびえる木野部峠、筆者撮影)

 むつ市大畑から国道279号を大間町へ向かう道中、最大の難所として知られる木野部(きのっぷ)峠があります。上の写真は、昭和18(1937)年に未完成のまま建設中止となった「大間鉄道」の木野部トンネルが、戦後、生活道路として使用されていたことを物語る珍しい写真です。当時は、古くからの峠道を越えるよりも便利なことから、この鉄道用トンネルを人や車が往来していたそうです。

 「大間鉄道を語り継ぐ会」代表の則田忠雄さん(85歳、風間浦村在住)によると、戦時中に強制連行された朝鮮人たちが、食事も寝床も満足に与えられない劣悪な労働環境の下、このトンネルを掘っている様子を幾度も見聞きしたといいます。過酷な労働に耐えかねて逃亡しようものなら、見せしめのために殴り殺され、埋葬の手間を省くために遺体が崖下に遺棄されたこともあったそうです。命がけで逃げてきた労働者を住民がかくまい、ひそかに他郷へ逃がしてあげたこともあったといいます。

 現在では、トンネルの入口は封鎖され、路盤も崩れ落ち、戦時中の悲劇も、人や車の往来があったことも、遠い過去の記憶となりつつあります。

 当館では、県内の行事や街並み、農民の暮らしぶりなどを撮影した古写真を、広く皆様方から提供を受けるなどして収集しています。お持ちの方は、県立郷土館(電話017-777-1585)までご連絡ください。
(青森県立郷土館 増田公寧)
by aomori-kyodokan | 2012-03-22 08:37 | 写真で見るあおもりあのとき
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