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青森県立郷土館ニュース

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写真で見るあおもりあのとき 第82回「お菓子の大阪屋 創業400年の老舗」

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↑竣工間もない頃の大阪屋の店構え=昭和33年、佐々木直亮氏撮影



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↑昭和32年に彫刻師・内藤香石が作った大阪屋の看板

 私の生家は弘前市本町にある、お菓子の老舗「大阪屋(おおさかや)」のすぐそばにあり、手土産が必要なときに母が準備するのは必ずここの羊羹でした。

 お店は弘前城追手門から南へ400mほどのところにあります。上の写真は竣工してさほど時間のたっていない昭和33年に撮影されたものです。現在も基本的には変わりがなく、60年近い時間の経過を感じさせない堅牢な建物です。

 下の写真は、現在も大阪屋入り口横に架けられている看板です。よく見ると左側に「丁酉(1957年)夏日香石」とあり、著名な彫刻師―内藤香石(山梨県)の作品で、昭和32年夏に制作されたものです。彼に看板の制作を依頼できる大阪屋の伝統の重さを感じさせます。

 ところで、大阪屋は寛永7年(1630)創業で、今年で382年になりました。江戸時代を通して弘前藩の御用菓子司を努め、店内にある螺鈿細工の菓子入れには、津軽家家紋の牡丹がさりげなく描かれています。

 初代福井三郎右衛門は津軽に来る前、豊臣家に仕えていて、「大坂夏の陣」で豊臣家が滅亡した時に弘前藩2代藩主津軽信枚(のぶひら)に招かれたことから大阪屋という屋号になったようです。信枚といえば、満天姫(徳川家康の養女)を正室にしていますが、その際、前の正室だった辰姫(石田三成の娘)を側室に降格させています。

 藩政時代からかわることなく伝えられてきた大阪屋の味を味わいながら、400年前の「関ヶ原の戦い」や「大坂の陣」に思いをはせてみるのも面白いですね。
(青森県立郷土館 豊田雅彦)
by aomori-kyodokan | 2012-03-15 08:44 | 写真で見るあおもりあのとき
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