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写真で見るあおもりあのとき 第78回「陸奥湾ノリ養殖 1980年に姿消す」

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↑陸奥湾のノリ養殖の作業風景=野辺地町、昭和40年(野坂千之助氏撮影)



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↑現在も残るノリ養殖のくい=平内町淺所

 ノリ養殖は江戸時代初期に始まり、明治時代になると全国的に普及するようになったとされています。陸奥湾でノリ養殖が試みられたのは昭和二五年頃からでした。大湊(むつ市)や小湊(平内町)で企業化試験が行われた結果、昭和三二年には干海苔の製品化のめどがついたといいます。

 その後、平内町小湊を中心に野辺地町、むつ市でノリ養殖が本格化し、昭和三八年には約三七〇万枚の干海苔が生産があり、前途有望と期待されました。しかし、生産拡大がなされた瀬戸内海や有明海などの先進地域の養殖ノリに押され、さらに陸奥湾浅海域での養殖は品質や生産量において限りがあったため伸び悩むことになってしまいます。そして、ホタテ養殖が軌道にのりだした昭和四九頃にはノリからホタテへ切り替える漁業者が増え始めました。その結果、昭和五五年には陸奥湾からノリ養殖が消えたといいます。

 写真上は昭和四〇年のノリ養殖作業の様子です。浅い海に杭を打ち込み、それに種苗をつけた「海苔ひび」といわれる網を結わえつけています。平内町の浅所の海では今でも杭が並んでいる光景を目にしますが、これはノリ養殖の名残です(写真下)。
(県立郷土館客員学芸員 成田 敏)
by aomori-kyodokan | 2012-02-16 10:05 | 写真で見るあおもりあのとき
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