↑子供連れの母親らとともに弘前市一番町の坂を上るねぶた=昭和30年代
昭和30年代、ネプタが弘前市一番町坂を登っていくところです。当時は浴衣などの衣装を揃えていない町会も多く、子供連れのお母さん方は普段着のまま、日傘を差して行列を組んでいます。おそらく最終日ナヌカビの運行でしょう。
ネプタの後ろには、当時津軽地方で最先端の文化や流行をけん引していた「かくは」デパートの建物が見えます。その屋上には「見晴台」があり、多くの人が登っていますが、現代の安全基準からすれば少々危なげに見えます。「かくは」隣りの菓子屋には、有名なリンゴ菓子「薄雪」とともに「バターキャラメル」の看板が見えます。また写真奥には、現在ほとんど姿を消した「かや(蚊帳)」の大看板があり、近代と前近代が混在していた当日の暮らしの風景が浮かんできます。
(青森県立郷土館 小山隆秀)
(写真は野呂善造氏撮影)
※青森県立郷土館では、県内の行事や街並み、農民の暮らしぶりなどを撮影した古写真を、広く県民の提供を受けるなどして収集しています。当館がこれまで集めた写真の一部を紹介しながら「ちょっと昔のあおもり」の記憶を52回にわたってたどってみます。(この項は、東奥日報社連載記事を転載したものです。)
昔の写真などをお持ちの方は、青森県立郷土館(電話017-777-1585)までご連絡ください。