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青森県立郷土館ニュース

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「北斎の富士」新聞連載 第7回「雪の且の不二」

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 浮世絵の風景版画は芸術的に鑑賞するほかに民俗資料としても見ることができると私は思っています。今回の「北斎の富士」に展示紹介されている「富嶽三十六景」や「富嶽百景」をみると人物や道具、家屋などが詳細に描かれており、実に興味深いものがあります。

 写真の絵は「富嶽百景」にある「雪の且の不二」(ゆきのあしたのふじ)で、雪の降った朝の様子を描いたものです。且は旦(あした)の誤りであろうといわれます。この絵には一見したところ富士山はどこにも描かれていません。実は二匹の犬が遊んでいる雪山を富士山に見立てているのです。こうした洒落た趣向はいかにも北斎らしいところかもしれません。

 さて、この絵に描かれている人物に注目してみましょう。左の人物はたすき掛けをして懸命に雪を片付けているところですが、手にしている雪かきの道具は青森県内でつい近年まで使用されていました。これを津軽地方ではケンシキといいました。

 また、右の二人の人物を見てみると、一人は笠をかぶり簑を着ています。簑は通常、雨具として用いられますが冬季には防寒具としても着用していたのです。もう一方の人物は布の頭巾をかぶりコート状の上っぱりを着て、手には傘を持ち足には高い足駄を履いています。簑の人物は沓状の履物を履いていますが、この履物は何か私には判然としません。この二人の人物で当時の冬季における代表的な服装を表現しているように思います。

 真ん中の小柄な人物はおそらく丁稚をしている小僧だとおもわれますが、大きな大人用の笠をかぶっています。桶や徳利に入った酒を配達にいくところでしょうか。このように浮世絵を芸術としての視点ばかりでなく、さまざまな視点で鑑賞できるのもこの展示会の楽しみのひとつです。
(青森県立郷土館学芸員:成田 敏)

※現在、青森県立郷土館では東奥日報社と共催で「北斎の富士」を下記のとおり開催しています。これに関連して、紙上に10回にわたって、見どころを紹介する記事を掲載する予定です。ご期待ください。

□期日 10月30日(土)~12月5日(日)
□時間 10月30日・31日は9時~18時(入館は17時30分まで)
      11月1日以降は9時~17時(入館は16時30分まで)
□会場 当館1階特別展示室(大ホール)
■料金 一般・大学 800円(600円) 中学・高校 400円(300円)
      小学生以下は無料 ※(  )は前売りおよび20名以上の団体料金
■問い合せ先 東奥日報社・読者事業局事業部
〒030-0180 青森市第二問屋町3-1-89 電話=017-739-1249 FAX=017-729-2352
by aomori-kyodokan | 2010-11-24 13:18 | 北斎
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