
現在、50から60代以上の方々なら、某食品会社のお茶漬けのおまけに入っていた名画カードで、葛飾北斎の富獄三十六景の絵柄はおなじみではないでしょうか。そうでなくても、富士山の絵といえば、三十六景の中の逆巻く大波の彼方に小さく見える富士山が描かれた「神奈川沖浪裏」や通称「赤富士」と言われる「凱風快晴」の2点を思い浮かべる人も多いはずです。それくらい、北斎と「富獄三十六景」は、我々日本人にはなじみ深い絵師であり作品なのですが、実はこのシリーズ36景ではなく、46景あるのは、ご存じでしょうか。この三十六景の名所絵が大好評の為に、さらに10点追加したそうです。またこれにより、役者絵とか美人画が主流だった浮世絵に風景画(名所絵)の分野が確立し、北斎という絵師の名も知れわたることになりました。しかも、この時の北斎の年齢は72歳、「富士百景」という絵本を刊行したのが75歳です。現在でも70代ともなれば仕事の一線を退く人も多いのに、本当に驚きです。
やがて、貿易とともにヨーロッパに渡った「富獄三十六景」は、現地の芸術家たちに高く評価されました。1999年にアメリカの雑誌『ライフ』が企画した「この1000年で最も重要な功績を残した100人」に日本人として一人だけ選ばれているのが北斎で、このことからも彼の世界的な評価の高さを知ることができます。また今年は北斎生誕250年の記念すべき年でもあります。
あまりに有名な為に、知ったつもりになっている三十六景と百景。しかし、じっくり観ると新たな発見が次々と出てきます。次回からは自然、歴史、民俗、産業の各分野の学芸員が、北斎の作品の新たな魅力をお伝えします。
(県立郷土館・對馬恵美子)
※現在、青森県立郷土館では東奥日報社と共催で「北斎の富士」を下記のとおり開催しています。これに関連して、本日から紙上に10回にわたって、見どころを紹介する記事を掲載する予定です。ご期待ください。
□期日 10月30日(土)~12月5日(日)
□時間 10月30日・31日は9時~18時(入館は17時30分まで)
11月1日以降は9時~17時(入館は16時30分まで)
□会場 当館1階特別展示室(大ホール)
■料金 一般・大学 800円(600円) 中学・高校 400円(300円)
小学生以下は無料 ※( )は前売りおよび20名以上の団体料金
■問い合せ先 東奥日報社・読者事業局事業部
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