ブログトップ

青森県立郷土館ニュース

kyodokan.exblog.jp

<   2016年 01月 ( 4 )   > この月の画像一覧

ふるさとの宝物 第130回 コクゾウムシ

米粒を餌にする害虫

b0111910_14455912.jpg
コクゾウムシ


 昆虫の中には私たちの生活と密接な関係にある種類も多い。衣類、食品、建材、書籍など、私たちの周りにある物の殆どは何かしらの昆虫等が住み着いている。台所の米びつの中に発生する「コクゾウムシ」もその一つで、貯穀害虫(ちよこくがいちゆう)と呼ばれている。
 コクゾウムシの成虫は体長が3ミリメートル前後で米粒の大きさに比べて小さく、幼虫は更に小さい。成虫の寿命は長く約4ヶ月と言われているが、幼虫は卵から成虫になるに約1ヶ月かかる。幼虫成虫共に米粒で生活しており、成虫の雌は一個体で200卵を米粒一個づつに口吻(こうふん)で穴を開けて一個の卵を順次産卵する。このため、米びつにコクゾウムシが入り込むと、大発生して蓋を開けた私たちを驚かせることになる。近似種で同様の生態をする更に小型のココクゾウムシは国内の系統は殆ど飛ばないが、コクゾウムシは飛ぶことは出来、分布を広めている。近年は台所にシステムキッチンが普及し、コクゾウムシも見かけなくなった。
 米粒大の昆虫は、甲虫の世界では小型の種類に属している。昆虫の大中小の大きさの違いがわかる、企画展「大・中・小~くらしの中のスケールあれこれ~」を開催中で、自身の目でその大きさを確認して見ていただきたい。
(県立郷土館学芸員 山内智)


[PR]
by aomori-kyodokan | 2016-01-28 14:50 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第129回 ティーカップ

70年前の小さなおもちゃ

b0111910_106466.jpg
小さなティーカップ


b0111910_107369.jpg
皿の裏には「占領下の日本製」を意味する文字が記されている


 クリスマスにお正月が終わりました。子供たちはお気に入りのおもちゃを手にして、笑顔になったことでしょう。
さて、写真のティーカップは約70年前に作られたおもちゃです。隣に置いたクリップと比較してもらうとわかるように、皿の直径は3.9㎝、ティーカップの高さは1.7㎝の非常に小さい物です。皿の裏には「MADE IN OCCUPIED JAPAN(占領下の日本製)」とあり、日本がアメリカの統治下にあった1945~52年の間に作られたおもちゃであることがわかりました。
日本のおもちゃは占領軍による玩具の輸出奨励策によりアメリカ向けに輸出され、おもちゃは日本の貿易を支える産業の一つとなりました。かつて軍備に利用された材料がおもちゃに加工され、アメリカの子供たちを笑顔に、その外貨で日本は食料品を輸入し、日本の子供たちが笑顔に、おもちゃはいつの世も子供のための物でありました。
現在、青森県立郷土館では企画展「大中小展」を開催しております。写真のティーカップのセットの他、さらに小さいドールハウス用のティーセット、普段使うティーカップが展示されていますので、その大きさの違いも是非ご覧いただきたい。
(県立郷土館学芸主査 伊藤啓祐)
[PR]
by aomori-kyodokan | 2016-01-21 10:04 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第128回 自在鉤

鍋と火の距離を調節

県立郷土館の常設展示にある自在鉤
b0111910_9381284.jpg
 自在鈎は囲炉裏などの上につり下げて、鍋ややかんを掛けて使う道具である。ちなみに鈎とは、金属をL字に曲げたものや先のとがっている部分のことであり、以前紹介した天秤棒や鈎燭にも使われていた。
自在鈎は筒と棒と横木でできている。筒の中に棒を入れ、そこに鍋をかけると、横木との摩擦で棒が落ちずに固定される。あとは好みの長さに棒を上げ下げすればよい。
 鍋に入っている料理を温めたいときは、自在鈎の棒を長くして囲炉裏の火に近づけて温める。逆に火力が強い場合は、棒を短くして火から遠ざける。現在は、IH調理器具やガスコンロのつまみを調節するだけで火加減を調整できるが、昔は自在鈎の棒の長さを調節して火加減を調節していたのである。 県立郷土館で行っている「出前授業」でも紹介しており、子どもたちの興味を引く道具である。子供達に自在鈎を体験させると一生懸命に板を動かし仕組みや工夫について理解する。まさしく自在鈎は道具の工夫を発見する楽しさを与えてくれる名品である。
(県立郷土館学芸主査 伊丸岡政彦)

[PR]
by aomori-kyodokan | 2016-01-14 10:35 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第127回 貝層の地層剥ぎ取り

発掘調査後も観察可能

b0111910_166423.jpg


 写真は、1991年に県立郷土館が国史跡七戸町二ツ森貝塚の発掘調査を実施した際に作成した地層断面のはぎ取りである。はぎ取りとは、貝塚などの地層断面に特殊な糊(のり)を塗り、その上に布を貼って地層を構成する土と貝を文字通りはぎ取ったものである。
この貝塚は、縄文時代中期後半(約4500年前)の人々が利用した貝殻などが堆積したもので、厚さが80cmある。はぎ取りをみると、貝の種類はヤマトシジミ・マガキ・ハマグリなどの二枚貝が多く巻貝が少ないこと、貝殻のほか魚骨やシカやイノシシなどの獣骨、土器や石器も混じっており、さまざまなものが貝塚に捨てられていた様子がうかがえる。さらによく見ると、貝殻は種類ごとにまとまりをもって層をなしているようで、一定期間集中して特定の貝を採集していた可能性も考えられる。
本来、地層の重なりは発掘調査時にしか見られないが、地層をはぎ取ることで調査後にも地層観察が可能になる。このように、はぎ取ることは貝塚の様相を探る上で有効な方法である。
(県立郷土館主任学芸主査 杉野森淳子)
[PR]
by aomori-kyodokan | 2016-01-07 08:43 | ふるさとの宝物 | Comments(0)