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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第126回 シメナワ

丹精込めて手作り

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大・小のシメナワ


 年の瀬を迎える町に市が立ち、大勢の人々が繰り出す光景も、今は昔。昨年末、青森市中心街でみられたシメナワ(しめ飾り)売りの露店は、わずか5軒ほどだった。
シメナワを商うのはいずれも同市郊外に位置する駒込(こまごめ)集落の人々。シメナワはみな売る人の手作りだ。「(当時流行の)マント欲しくてさ。小遣い稼ぐのに始めだんだ」そう語るのは、当地で60年以上シメナワを商う武田まちゑさん(82)。「5~6銭でも売れば、売れだなって。あずまし正月越すにいってな」
自家用車もない時代。駒込を午前3時に出発し、片道6㎞の道を中心街まで歩いて通った。背負える量を売るだけの、ささやかな商売。それが、昭和40年代になると、転機を迎える。徐々にシメナワの需要が高まり、集落をあげて大量に生産されるようになった。「駒込しめ縄組合」の組織のもと、北海道にまで輸出され、材料のスゲが足りず「ホガムラ(他村)まで刈(か)に行がねばねえ」ほどだったという。
スゲの栽培を含めると、シメナワづくりは丸1年がかりの作業。炎天下の刈り入れから選別、乾燥など、素材の準備だけでもかなりの重労働だ。まちゑさんが1年かけ丹精込めてこしらえたシメナワが、今年もまた露店にならぶ。
(県立郷土館研究員 増田公寧)
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by aomori-kyodokan | 2015-12-24 09:47 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第125回 巨大わらじ

巨人用…ではなく奉納用

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巨大な奉納用ワラジ(県立郷土館蔵)


 近代に西洋の靴が普及するまで、日本列島の人々の履き物は、ワラや樹皮、木で作り、足を乗せる台の上に鼻緒を付けた構造のものが多かった。そのなかでも長旅や仕事で履くのがワラジ(草鞋)だった。平安時代にはその原型が生まれていたという。青森県立郷土館にも、ふるさとの人々が使ってきた多くのワラジがたくさん収蔵されている。
 そのなかでも最大のワラジを紹介しよう。写真の巨大なワラジは、片足分で長さ約2.8メートル、幅約1メートルもある。その重さも大変なもので、片足だけでも大人の男性がやっと担げるくらいだ。いったいどんな巨人が履いたワラジだろうか。
いや、これは実用のものではなく、神仏に奉納したワラジだと考えられる。人々はムラや神聖な空間に災いや魔が侵入するのを防ぐため、賽の神や道祖神、寺の門前を守る仁王像などに大きなワラジを奉納することが多かった。
 寛政8年(1796)7月2日に津軽の車力付近を通った旅行家菅江真澄も、大山祇(おおやまつみ)神社の大鳥居に大きなワラジをたくさんかけているのを見て「仁王尊が祀られているのだろうか」と記録している(「外濱奇勝」)同じく本資料も祭祀具と推測され、三沢市にあった旧小川原湖民俗博物館が採集し、近年当館へ寄贈されたものである。
 12月19日(土)から来年2月4日(木)まで開催する当館特別展「大中小~くらしのなかのスケールあれこれ~」で展示する予定だ。ぜひご覧いただきたい。
(県立郷土館主任学芸主査 小山隆秀)
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by aomori-kyodokan | 2015-12-17 10:28 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第124回 佐藤米次郎作の蔵書票

豊かさ秘めた小さな世界

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佐藤米次郎作の蔵書票。下の鉛筆と比べると、小ささが分かる。


 蔵書票は、本の持ち主をあらわすために見返し(表紙の裏)などに貼るもので、書票、エクスリブリスともいわれる。持ち主の名前(文字)と絵で構成され、日本では明治期に知識人たちの間で広まり、その美しさ、デザイン性から現在では鑑賞、収集の対象として世界中にコレクターがいる。
 佐藤米次郎(1915~2001年)は青森市出身の版画家で、県内の風物や伝統芸能などを愛らしい子供たちの表情とともに表現した作品が数多くある。蔵書票作家、豆本作家としてもよく知られている。写真は、「読書」から連想される「ランプ」の蔵書票。同じモチーフでも様々なデザインがあり、見比べてみるのも楽しい。
制作者(作家)は、テーマを依頼されることもあるが、蔵書票を手にする依頼主の趣味や職業、出身地などを考慮して制作するという。手の中に収まる小さな世界に「私の本…」という依頼主の本へのこだわりと愛着が、さらに作家の依頼主へ思い、それを表現するための「わざと時間」がこめられる。
県立郷土館では、19日(土)から企画展「大・中・小~くらしの中のスケールあれこれ~」を開催。人間が生み出した「もの」の中から、小さな世界、蔵書票や豆本を紹介。小さな作品が秘める奥深さと豊かさを味わってほしいと思う。
(県立郷土館主任学芸主査 太田原慶子)
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by aomori-kyodokan | 2015-12-10 10:16 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第123回 りんごの宣伝ポスター

本県を象徴する1枚

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 青森りんごについては、高度経済成長期の昭和30年代、全国の消費者への宣伝活動が活発になり、本県からは絣の野良着姿の「りんご娘」の一団が首都圏に出向いたり、有名人の肖像を使った宣伝ポスターが出回ったりしたようである。
 写真の資料は、りんご移出商の方が昔、青森りんごの宣伝のために製作したポスターである。りんごの竹籠を持った関取栃ノ海の写真が使われている。
 栃ノ海は光田寺村(現田舎館村)出身である。彼は、1964(昭和39)年初場所後に第49代横綱となっている。写真のポスターでは小さくなりすぎて見えないが、彼が「大関」であると明記されているので、これは62~63年に製作されたものだろう。相撲王国・りんご王国である青森県を象徴するものといえる。
(県立郷土館主任学芸主査 佐藤良宣)
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by aomori-kyodokan | 2015-12-03 09:57 | ふるさとの宝物 | Comments(0)