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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第100回 クマ型土製品

カミの姿を重ねる?

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クマ型土製品(弘前市尾上山遺跡、風韻堂コレクション、小川忠博氏撮影)


 新聞で「クマ目撃」情報を連日目にする。縄文人はどれだけクマに遭遇していたのだろうか。写真は縄文時代晩期(約三千~二千二百年前)の資料である。
 両耳と足先、尻尾は欠損しているが、全長14センチ、高さ・幅8.3センチのずんぐりとした体型は、いかにもクマらしい。大きく開いた口の上下には、鋭い牙も表現されている。胴体には土器と同じ縄目模様と棒で描かれた文様があり、ふさふさとした毛なみのようにもみえる。胸には「ツキノワグマ」の特徴である三日月模様の表現もある。
 クマやイノシシを象った動物形土製品は縄文時代後・晩期の東日本に多く分布する。東北北部から北海道の地域では、特にクマが目立ち、クマの顔や足跡が描かれた土器や石器も出土している。その一方で、出土した動物骨では、イノシシやシカと比べてクマは極めて少ない。この時代、クマに対する特別な信仰があった様子が窺える。縄文人はクマにカミの姿を重ね、大地の恵みに対する畏敬と感謝の気持ちを伝え、狩りの安全を願っていたのかもしれない。
(青森県立郷土館 主任学芸主査 杉野森淳子)
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by aomori-kyodokan | 2015-06-25 08:54 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第99回 絵銭

お守り・おもちゃに利用







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江戸時代の絵銭。写真左には仏の絵、写真右には念仏が描かれている。


 好きにも色々あるが、お金は好きだろうか?
今回紹介するのは「絵銭」である。江戸時代から鋳造された銭であるが、これは貨幣として流通目的に作られたものではない。図柄はえびす、大黒を始めとした神仏、馬、念仏・題目、植物、家紋などがあり、寺社仏閣の御守り銭、子供のおもちゃ、慶事祝賀の記念銭などに使われた。
 現在、青森県立郷土館ではエントランスホールにてウェルカムミュージアム「古銭オンパレード」を開催してい。絵銭の他、和同開珎のモデルとなった開元通宝から戦後までの貨幣、本物の寛永通宝から偽物を一枚探すクイズコーナーもある。コインコレクターとして、お金が好きな方も是非、クイズに挑戦してはいかがだろうか。展示は6月30日まで。エントランスのみの来館はノーマネーでご覧いただける。
(県立郷土館学芸主査 伊藤啓祐)

※ この展示はすでに終了しております。
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by aomori-kyodokan | 2015-06-18 15:28 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

東奥日報連載記事『ふるさとの宝物』転載について

 青森県立郷土館は、県民の皆様から御寄贈頂いた品々をはじめとして、郷土に関わる数多くの資料を収集して所蔵しており、その点数は9万点を超えます。これら当館の所蔵資料を紹介する連載記事『ふるさとの宝物』を、平成25(2013)年4月から、当館職員の執筆により、毎週木曜日の東奥日報朝刊に掲載しております。
その連載記事につきましては、以前から学校の学習等に役立てたい、とのご要望がありましたので、6月11日(木)の掲載分から、これらの連載記事を順次このブログに掲載します。どうぞご覧下さい。
 なお、今後、それら連載記事の転載につきましては、このブログに掲載日の日付で掲載致します。
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by aomori-kyodokan | 2015-06-15 10:28 | お知らせ | Comments(0)

ふるさとの宝物 第98回 奈良岡正夫の油彩画「閑日」

命の優しさ、深い愛情


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奈良岡正夫「閑日」(油彩、キャンバス)


 弘前市出身の油彩画家奈良岡正夫(1903~2004年)は、ヤギを好んでテーマにしたことから「ヤギの画家」と称される。奈良岡は、戦時中、その写実力を見込まれ、従軍画家として戦地に赴き戦争記録画を残した。人間が争い、苦しむ姿を目の当たりにした体験により、戦後は物言わぬ動物達に心を惹(ひ)かれていったという。
昨年、山羊の親子を描いた作品、岩木山など故郷の風景を題材にした作品などが当館に寄贈された。写真の「閑日」の制作年は分からないが、題材としてはあまり多くない、人物を描いたものである。大人の手元を見つめる幼子、その後ろ姿に注がれる優しい眼差しと穏やかな空気を感じさせる。
1997年に発行された『奈良岡正夫画集』(生活の友社)に同じ構図の「孫」(90年)と題した作品があるが、「閑日」は、生涯絵筆を握り続けた画家の、命に対する優しさと愛情の深さ、力強さがより伝わってくる。
(主任学芸主査 太田原慶子)
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by aomori-kyodokan | 2015-06-11 12:00 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第97回 金子常光「浅虫温泉名所図絵」

街のにぎわいまで表現
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金子常光作の鳥瞰折図 「浅虫温泉名所図絵」


 空から地上を見下ろす視点で描く鳥瞰図は、古くから世界各地で作られてきた。明治以降、日本で鉄道が発達すると、庶民の旅行熱が高まり、観光案内を兼ねた鳥瞰図が盛んに製作された。中でも、「大正広重」の異名を持つ吉田初三郎の鳥瞰図は爆発的な人気を博した。初三郎は本県の八戸市種差にアトリエ「潮観荘」を置いていたことが知られている。
 その弟子であった金子常光は、初三郎にさきがけ、大正期のうちから東北地方の鳥瞰図を数多く描いている。その一つが『浅虫温泉名所図絵』である。左上の隅には「東京」という地名が見えるなど、実際の地形と違いが大きいが、地形を大胆に変形させて描くことでその地域の名所を余すところなく描き、そこへの交通機関まで詳細に示すところは、常光のかつての師である初三郎譲りと言えるかもしれない。
 この図では、国道から南側に向かって、料亭や旅館が数多くある温泉街が広がっている。当時のにぎわいをよく表していると言える。
 この春から、当館2階歴史展示室では、この図に加え、県内を描いた吉田初三郎の鳥瞰図2点を展示している。
(県立郷土館 主任学芸主査 佐藤良宣)
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by aomori-kyodokan | 2015-06-04 15:16 | ふるさとの宝物 | Comments(0)