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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第65回 松木満史の油彩画「馬のいる自画像」

酒を愛した画家の1枚
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松木満史「馬のいる自画像」
祝酒の封を開ける松木満史
(県立郷土館発行「松木満史とその時代展」図録より転載)


 現在、当館では特別展「発酵食品パワー」を開催中であるが、発酵食品を代表するのもののひとつは酒であろう。古今東西、酒を愛した芸術家は多く、棟方志功のように、全くお酒を飲まない画人はむしろ珍しい。志功の青春時代の画友、松木満史は例外にもれず、酒が大好きであった。
 満史は第1回(1959年)の青森県文化賞の受賞者であったが、その第一報は、蔦温泉に滞在中の、満史と小館善四郎他計4名の国画会仲間で酒宴を催している真っ最中に届いたという。4人は秋の十和田の写生旅行に来ていたのである。
写真は、宿の主人から祝酒の差し入れが入り、それを喜色満面の笑みを浮かべた満史が封を開ける瞬間である。この夜、4人で1升瓶にして3本を開けたというから、酒豪ぞろいであったのだろう。皆、祝いの美酒に酔いしれたにちがいない。
 掲載の作品は、受賞の翌年(60年)頃に描かれた油彩画「馬のいる自画像」、向かって右側の人物が満史である。
(前県立郷土館学芸課副課長 對馬恵美子)

※ なお、特別展『発酵食品パワー』は、昨年秋好評のうちに終了しました。
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by aomori-kyodokan | 2014-09-25 11:45 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第64回  地獄絵

仏の功徳(くどく)、庶民に伝える

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地獄でのさまざまな責め苦が描かれた地獄絵


 当館では、季節に合わせてささやかな展示を行っている。今回はお彼岸が間近なこともあり、エントランスホールと3階民俗展示室の一角に、地獄絵を複製したタペストリーを展示した。題して「地獄絵―郷土館で地獄めぐり―」である。
 この地獄絵は、高澤寺(鰺ヶ沢町)所蔵の「十王図(じゅうおうず)」で、江戸末から明治にかけて活躍した弘前の絵師平尾魯仙が地獄を支配する10人の王と、地獄の様相を描いたものである。この世で悪いことをした者が、あの世では地獄に行って舌を抜かれたり、火の中に落とされたりして苦しんでおり、天空には仏が現れその様子を憐(あわ)れんでいる構図となっている。
 絵に描かれた仏の功徳を庶民に伝える寺行事は、本県においても正月・盆の16日やお彼岸のころに行われていた。高澤寺では正月16日に現在もこの絵を公開しており、かつては多くの参詣者が拝観したという。子供を連れてきて、この絵を見せながら説教する人もいた。太宰治『思ひ出』の中で、幼少の太宰が「たけ」から善悪を教えられる場面は、このような地獄絵を前にしたものであった。
(県立郷土館学芸課長 古川実)

※この季節展示は2014年秋に実施されました。
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by aomori-kyodokan | 2014-09-18 11:36 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第63回 牛の頭骨

厩に掲げて平穏願う

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魔除けとして厩に掲げられていた牛の頭骨


「私は静岡県の古い道路をあるいて居て、或一つの坂の崖下に、四角な穴を掘り窪めて、本ものゝ馬の頭骨を安置したのを見たことがある。奥羽地方でも人の家の入口などに、杙を打つて同じやうな馬の首を、幾つか掛けて置く風があつたことが、今はどうか知らぬが、以前の紀行文には見えて居る。」
これは1950(昭和25)年に記された『年中行事覚書』(柳田國男)の一文。馬の首をまつる風習があったことが知られる。飼っていた馬の遺骨を、家の戸口や集落の出入り口に掲げて魔除けとしたのだろう。
 写真は馬ではなく「牛」の頭骨。青森市内の農家の厩(うまや)に掲げられていたものである。厩猿(うまやざる)といって、サルの頭蓋骨を厩に懸けて魔除けとし、馬の安全を祈るという風習は一般的だが、牛の頭蓋骨を掲げるのは珍しい。聞けば、近隣の農家数件も掲げていたという。(77歳男性)。農耕を助けてくれる牛馬は、農家にとって大切な宝だった。飼っていた牛が死んだのち、家を守り続けてほしいという願いから掲げられたものかもしれない。
(県立郷土館研究員 増田公寧)
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by aomori-kyodokan | 2014-09-11 15:20 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第62回 唐獅子

かわいらしく寄り添う

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寄り添うように展示されている唐獅子


 今回紹介する唐獅子は、本館歴史展示室内で私が一番可愛いと思う資料である。これは木鼻という、屋根と柱の境目にある木材の先端を装飾彫刻したもの。木鼻は鎌倉時代以降に日本の建築に現れ、装飾の形態も様々見られる。唐獅子の他、象やバクが表現されている物もある。
この唐獅子は1977(昭和52)年に本館に寄贈された物であるが、江戸時代の資料という他、残念ながら詳細は確認できていない。ひとつの彫刻作品として、これらを鑑賞してみると、守護獣にしては非常に可愛らしく寄り添っている。ちなみにこの2頭は向いの展示ケース内の鬼瓦にずっと睨まれているが、鬼瓦には目も合わせず、津軽家と南部家の系図をじっと眺めている。
 他にも、可愛いと思える展示物があるので、博物館は何か小難しそうだと思って敬遠している方も、気軽な気持ちで来館していただきたいと思っている。

(県立郷土館学芸主査 伊藤啓祐)
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by aomori-kyodokan | 2014-09-04 13:45 | ふるさとの宝物 | Comments(0)