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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第52回  十和田市梅のカヤ人形

害悪からムラを守る

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十和田市梅地区で作られていたカヤ人形


 民俗展示室に陳列している資料のうち、ひときわ異彩を放っているものに十和田市梅のカヤ人形がある。男女一対の巨大な人形で、高さは3メートル弱。カヤの束で形を作ってムシロで覆い、それに顔や胸、前垂れの模様を描いている。この人形は、当館の2002(平成14)年度特別展「東日本の神送り行事」で展示され、そのまま常設展示に活用された。
 じつはこの人形、本来は保存しておくものではない。人形は、梅の神社の例祭日である6月15日にムラ総出で作られ、ムラ境の道端に立てられる。そこで1年間ムラを害悪から守り、翌年新しい人形と交替すると捨てられるものなのである。
 さて、前年梅町内会は、人形作りはもう最後にすると決定した。従って今年は、古い人形の撤去だけが行われた。人形への慰労のためお神酒が供えられ、集まった一同も酒を一杯飲んでから作業を行った。人形に串刺しするソバ餅と、餅に付けるジュネ(エゴマ)味噌作りは継続され、神社例祭の参拝者に振る舞われた。ジュネはこの行事のために、少量ながらも毎年栽培していたものだという。
 人形を捨てる際に、人形が無くなる寂しさを語る方もいらした。その思いは今後深まるものかも知れない。そのときは、ぜひ当館の梅のカヤ人形を思い起こしていただきたい。
(県立郷土館学芸課長 古川実)
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by aomori-kyodokan | 2014-06-26 15:23 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

「奈良岡正夫氏寄贈作品」展示について

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 この度、油彩画家 奈良岡正夫(弘前市生まれ、明治36~平成16年)の作品6点が当館に寄贈されました。
奈良岡は高等小学校卒業後から画家を志し、大正14年に上京しました。昭和21年、第1回日展に初入選しその後入選を重ね、特選、無鑑査を経て、38年に会員になり、審査員、評議員などの要職につき、54年には日展参与となりました。40年に青森県褒賞受賞、61年には紺綬褒章受章しています。
奈良岡は動物画を多く描き、中でも山羊を特に好んでテーマとしたことから、「山羊の画家」として知られています。

期  間  平成26年6月17日(火)から
場  所  青森県立郷土館 3階 先人展示室
観 覧 料  常設展観覧料金
展示資料  奈良岡正夫氏作品 5点
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by aomori-kyodokan | 2014-06-20 11:43 | 小展示 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第51回 青磁浮牡丹文香炉

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 物を言わない歴史的資料に出会った時、それを純粋に楽しむためには知識よりもむしろ想像力が必要なのかも知れない。
 この青磁浮牡丹文(せいじうきぼたんもん)香炉は県立郷土館が1977(昭和52)~79(同54)年に発掘調査した山城である伝尻八館(青森市後潟地区)から出土した香炉で、14世紀の物とされている。直径20センチ、高さ16.4センチと出土した青磁の香炉としては国内最大級であり、そのデザインも非常に美しい逸品である。
 中国の龍泉窯で製作され、海を渡って青森の地に来たこの香炉は、おそらく城主の自慢の品で、客人に自慢してはこの香炉から放たれる香を楽しんだことだろう。持ち主を失った香炉は約600年地中に眠り、発掘後は香りを放つことなく、当館の展示ケースで新たな客人をじっと待っている。
 同遺跡では茶臼・酒器も出土していることから、当時の人間が香をたき、茶、或いは酒を楽しんでいた情景を想像しながら鑑賞して頂きたい展示資料である。

(県立郷土館学芸主査 伊藤啓祐)
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by aomori-kyodokan | 2014-06-19 17:50 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第50回 洗濯機

形も洗い方もユニーク

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形も仕組みもユニークな洗濯機


 銀色に輝くナゾの球体。今から57年前(昭和32年)に発売された「洗濯機」である。
「(球体上部の)フタを開けるとシュッと音がして、衣類の汚れもシュッと落ちるような気がした」と語ってくれたのは、青森市内に住む72歳の男性。高校生の頃、新しもの好きな父親が購入し2台ほど使ったという。県内にも普及していたらしく、各地の資料館でしばしば見かける。それもそのはず、発売から6年余りで30万台を売り上げたヒット商品である。電気洗濯機に比べれば手頃な値段も魅力だった。
面白いのは洗濯の仕組み。「膨張圧力式」といって、球体内部に衣類を入れて湯を注ぎ、蓋を閉じて軽く回転。内部の空圧が高まったところでフタを開けると、瞬間的に圧力が低下し、汚れが繊維から剥離するという原理。取扱説明書は「わずか10秒間で洗える」と謳う。
 製造元の群馬県では、里芋を洗ったり、蚕の繭を煮たりするのにも使われたそうだ(上毛新聞社刊『上州風』)。青森ではどうだろう。洗濯以外で使われた方は、ぜひ情報のご提供を。
(県立郷土館研究員 増田公寧)
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by aomori-kyodokan | 2014-06-12 17:46 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第49回  安全行火

先人の知恵と工夫体験

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 郷土館では、教育普及活動として学校を対象に「出前授業」をおこなっている。その中で人気がある授業が小学校3年生の「古い道具と昔のくらし」である。衣・食・住に関係する多くの古い道具から先人の工夫がわかり、子供達に人気のある道具を紹介する。その中でも子供の興味を引くのが暖房の道具「安全行火」である。
 「安全行火」は「あんぜんあんか」と読む。ちなみに「行火」とは、火入れに、炭火をおこし、上にこたつなどをおいて、手足をあたためる道具である。ただし、こたつの中の行火を間違って足で蹴飛ばすと、灰や炭がこぼれ、家が火事になってしまう。
  そこで、先人の知恵と工夫が「安全行火」にいかされている。安全という言葉のとおり、かたむけても、炭火や灰がこぼれないように中央の火入れが自由に回転する仕掛がある行火である。
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先人の知恵が詰まった安全行火。中の火入れが回転するようになっている。
 子供たちは、「炭や灰はこぼれないよ」という言葉に、本当に炭や灰がこぼれないのか安全行火をいろいろ動かしてその仕組みを自分自身で確かめ、昔の人の知恵と工夫はすごいと目を輝かせる。自分で道具の工夫を発見する楽しさを「安全行火」は与えてくれる名品である。
(県立郷土館 学芸主査 伊丸岡政彦)

                      
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by aomori-kyodokan | 2014-06-05 17:30 | ふるさとの宝物 | Comments(0)