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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第17回 お山参詣用具

かつて登拝者が着用

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カブリやお供え入れなどのお山参詣用具


 津軽地方のシンボルとされる岩木山は、山岳信仰の対象となる聖地であり、山頂に奥宮を祀り、麓の百沢に里宮の岩木山神社が鎮座する。旧8月1日、山頂を目指して奥宮に参拝するお山参詣(ヤマカゲ)の行事が行われ、津軽地方を主にして広域からの参拝者が集まる。岩木山神社境内では、登山囃子があちこちから聞こえ、長さ3メートルを超える大きな御幣や幟が奉納される。
 写真は、お山参詣の登拝者が身につけたもので、昭和45年から49年にかけて寄贈された。藁製のお供え入れ(ツトと方形のもの2点、餅を入れた)、神酒を入れたひょうたん型のガラス瓶と小さな酒樽。登拝者はこれらを背に負ったり、腰に結びつけたりし、銭と米粒を入れた白布のずた袋を首から下げた。藁製で鳥居をかたどったカブリ(冠)は、頭に被り、紐であごに結んだもので、鰺ヶ沢方面からの登拝者が被ったという。このような登拝者の姿は、現在見かけることがなく、習俗の変化を知ることができる貴重な有形の民俗資料である。
(県立郷土館学芸課副課長 古川実)
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by aomori-kyodokan | 2013-09-26 10:20 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第16回 柳樽・風韻堂コレクション

第1号の貴重な資料

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収蔵品第1号の「柳樽」 


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展示会第1号の「風韻堂コレクション」県重宝・亀ヶ岡遺跡出土品

 1967(昭和42)年7月24日、青森県に明治百年記念事業審議会が設けられ「青森県立郷土館」の建設と「県民の森」の設置が同年11月4日付で当時の竹内俊吉知事に答申された。70年4月1日付で、教育庁内に郷土館開設準備室が発足した。同年6月には設計図ができ、いよいよ同年11月6日には建設工事起工式が行われ、73年9月20日に開館した。そして、2013年9月20日県立郷土館は開館40年を迎えた。
 博物館の基となるのは、どのような資料を収蔵するかにある。郷土館開設準備室では70年9月から本格的に資料収集活動を開始した。当時の職員が県内各地に赴き、郷土館設置の趣旨を説明し、資料収集の必要性を説いて廻り協力をお願いした。
 郷土館収蔵資料の一番最初の受け入れは1970年9月1日付で、酒を入れて贈ったり、婚礼、祭礼,棟上げに飾る酒樽の一種である「柳樽」である。明治中頃に製作し大正時代まで使用していたものである.手提げの柄を角のように大きく作り,竹たがを巻いて朱・黒漆を塗っています.中央には送り主の「福島」の名前が朱書きで書かれている。縁起の良い「柳樽」を最初の収蔵品として、その後多くの方々からご寄付をいただいた。現在収蔵数は約96,000点に及ぶ。
 1971年4月下旬、青森県内外から出土した縄文時代の土器、石器などの文化財の資料を収集調査し、全国的に知られていた青森市の医師大高興氏から、風韻堂と名付けた自宅の収蔵庫の収蔵品のすべてを郷土館に寄贈したいとの申し入れがあり、県重宝を含む一万一千点余の貴重な資料を収蔵庫が完成した 1973年に収納した。このコレクションは研究者から高い評価を得ている資料であり、郷土館収蔵品の核となる資料である。毎年開催している展示会の第一回目の開館記念特別展はこのコレクションを紹介する「風韻堂コレクション展」であった。以来、貴重な資料等や古里の素晴らしさを紹介する展示会を大・中・小規模含め数多く開催してきた。
 多くの方々の善意によって今日の総合博物館としての県立郷土館があり、開館40周年を迎えることができた。今後も県民の皆様と共に歩んで行きたいと思う。
(県立郷土館学芸員 山内智)
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by aomori-kyodokan | 2013-09-19 10:11 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

特別展『平尾魯仙-青森のダ・ヴィンチ』開会式

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 特別展『平尾魯仙-青森のダ・ヴィンチ』の開会式が行われました。主催者である橋本都青森県教育委員会教育長のあいさつ、平尾魯仙の御子孫にあたる三戸治子さんによる祝辞に引き続き、テープカットが行われ、特別展が開幕しました。
 平尾魯仙は、幕末から明治初めにかけて活躍したマルチな才能を持った人物です。あらゆるものに興味を抱き、死後の世界について著した『幽府新論』、うわさ話などをもとに奇妙な事物や出来事を取り上げた『合浦奇談』『谷の響き』、開国後間もない箱館などの様子を記した『箱館紀行』『洋夷茗話』、西目屋村の暗門の滝に旅行した時の記録『安門瀑布紀行』など、数多くの著書を残し、植物・動物・縄文土器など、様々なものを描いています。
 今回の特別展では、青森のダ・ヴィンチと称せられる魯仙の多彩で幅広い才能がどう培われ、どう熟成していったかを紹介します。

詳細はこちらをご覧下さい
 http://www.pref.aomori.lg.jp/bunka/culture/Hirao-Rosen.html

□主催=青森県立郷土館 □共催=東奥日報社
■会期 9月13日(金)~11月10日(日)9時~18時 ※11月は17時まで ※会期中は無休
■会場 青森県立郷土館

■料金 一般500円(400円)大学・高校240円(200円) ※(  )は20名以上の団体および前売券料金 
  ※中学生以下は無料 ※障害のある方は免除 ※常設展示も観覧可
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by aomori-kyodokan | 2013-09-17 11:41 | 企画展・特別展 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第15回 平尾魯仙「虎図衝立」下絵

理想求めて試行錯誤

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平尾魯仙「虎図衝立」下絵


 2011年、当館に寄贈された成田彦栄コレクションには平尾魯仙関係の絵画を含む作品(資料)が多数含まれ、今回の平尾魯仙の特別展の調査に大変役立ったことは幸運であった。さて、その中に弘前市立博物館所蔵の虎を描いた衝立の下絵が発見された。この絵を見たとき思わず「木炭デッサンか?」といいたくなった。魯仙は明治初期に亡くなっているから、西欧の木炭デッサンの技法も知識も魯仙は知っているはずはない。木炭デッサンは西洋美術において最もアカディミックな学習方法である。イーゼルに画板をたてかけ、鉛筆状の木炭をモデルの石膏像にあわせて縦にしたり横にしたりして形をとっている光景を見たことのある人も多いのではないだろうか。
 下絵は虎の脚や尾の部分に幾本もの線が描きこまれている。納得のいく形を模索し、その上で一番良いと思われる線を採用して、毛筆で下絵の虎を完成させている。しかし、である。完成作品である衝立の虎の尻尾は、下絵では、取り入れなかった方であった。
 魯仙が最後の最後まで理想の形を求めて試行錯誤を繰り返していることがわかるこの下絵を、完成品である衝立を見比べると、絵に対して妥協を許さない魯仙の制作態度を感じとれると思う。
(前県立郷土館副参事 對馬恵美子)
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by aomori-kyodokan | 2013-09-12 14:58 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第14回 平尾魯仙原画「合浦山水観」(西浜)

本県西海岸 鮮明に描く

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『合浦山水観(西浜)』より「鰺ヶ沢湊」


 本作は、19世紀後半の弘前城下で活躍した絵師平尾魯仙の原画を、弟子の山形岳泉が忠実に写したものである。制作は明治41年(1908)年で、魯仙の死(1880〈明治13〉年)からはかなり時間が経っているが、自分の作品より師の作品を写すのを優先したと言われる岳泉のこと、さすがにみごとなできばえである。
 学者でもあった魯仙は、周囲に起こる物事すべてに関心を持ち、精力的に、絵画や文章に書き残そうとした。その題材は花鳥風月にとどまらず、人物・風景・考古遺物・文化財と、実に幅広い。時には奇怪な獣・魚・石や妖怪まで採り上げ、考察を加えている。
 魯仙は時折、地元弘前を離れることがあった。箱館や松前のにぎわいを描いた『洋夷茗話』『箱館紀行』、昔も今も観光名所である西目屋村の暗門滝を描いた『暗門山水観』、津軽一帯の海岸風景を題材とする『合浦山水観』(弘前市立弘前図書館蔵)などは、そうした小旅行の成果として有名である。
 『合浦山水観(西浜)』は津軽領の西海岸を描いており、題材的には、陸奥湾一帯を描いた『合浦山水観』と連作の関係になっていると思われるが、全52図のすべてに彩色が施されているので、よりリアルなイメージを思い描くことができるのではなかろうか。
(前県立郷土館研究主幹 本田 伸)
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by aomori-kyodokan | 2013-09-05 14:54 | ふるさとの宝物 | Comments(0)