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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第13回 教育普及活動

子供の好奇心を育む

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 郷土館には、さまざまな資料を収集・展示するだけでなく、所有している資料を活用し県民の学習意欲を高める役割がある。そのための中心となる活動が教育普及活動である。
郷土館では現在、「出前授業」「夏・冬休みこどもの国」「移動博物館」「夏休みクイズラリー」などの教育普及活動がある。
「出前授業」は、県内の小中学校や高校に資料を持ち込んで「自然・考古・歴史・産業」の授業を行う。普段なかなか聞くことができない学芸員の解説や実際の資料を「見て」「触って」「感じる」の体験活動に参加できる。そこで子供達の見せる「キラキラ輝いた瞳と好奇心あふれる笑顔」が宝物なのである。
2013年度で「出前授業」を開始してから10年の節目を迎えた。好奇心旺盛な子供たちを育くむためにより一層、教育普及活動を県内に広めていかなければならないと考えている。 
(県立郷土館学芸主査 伊丸岡政彦)
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by aomori-kyodokan | 2013-08-29 14:50 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第12回 大町桂月書画「雪行図」

心情を表す絵と筆遣い

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大町桂月「雪行図」


 大町桂月は高知市出身だが、明治末期に十和田湖を訪れ、その魅力を全国に紹介し、蔦温泉で一生を終えた文人。
 「鶯や 脚下(きゃっか)積雪(かたゆき)百千仭(せんじん)」
 青森県でウグイスの声が聞こえはじめるのは、4月下旬である。堅雪(かたゆき)とは、春に解けかかった雪が夜間に冷えて堅く凍り付いた状態のことで、この書では、「積雪」と書かれている。
桂月が八甲田に惹かれた理由の一つにはこの堅雪があった。堅雪を取り上げた作品には、「堅雪の乗鞍嶽」をはじめ、高田大嶽、八甲田大嶽、駒ヶ峯などがある。「堅雪の乗鞍嶽」では「春より初夏にかけての堅雪の山嶽を踏破することは、世にも爽快を極む」と記している(『桂月全集別巻』昭和4年)。
 杖を持ち、「かんじき」を履いて軽快に堅雪を踏みしめている自画像と、書のリズミカルな筆の運びが、桂月の心情を絶妙に表現している。腰の瓢箪(ひょうたん)の中身は、好物の酒であろうか。
(県立郷土館学芸課副課長 竹村俊哉)
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by aomori-kyodokan | 2013-08-22 10:19 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第11回 鹿島祭りの舟

人形を乗せ海に流す

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「鹿島祭り」の舟。人形を乗せ海に流される


 日本海に面する深浦町大間越、黒崎、松神では、田植えが終わった6月から7月の期間に、地区ごとに「鹿島祭り」を行っている。この民俗行事は、鹿島信仰に基づく由来を持ち、人形を舟に乗せて流すことなどから、隣接する秋田県の鹿島流しと一連の民俗とされるが、舟の地区巡回に囃(はや)しと太刀振り踊りが付くことなどは、津軽地方で行われるムシ送りに類似する。舟は、再び地区の海岸に戻らないようにと、沖合まで運ばれて流される。
 郷土館3階の民俗展示室には、この祭りで用いられる舟が展示されている。長さ約2.1メートル、帆柱までの高さ約1.2メートルで、実物どおりの造作である。舟に乗る25センチほどの人形7体は、それぞれ船主、船頭、舵取り、水夫、炊事係に役付けされ、鉢巻きをきりっと締めている。
 この舟は、1984(昭和59)年製作の大間越の舟である。船尾の飾りには、ちょうど見ごろとなるアヤメの花、碇にイモサクという土地で採取できる野草を用いており、自然と民俗との連関を知ることができる。また、舟底は木を刳りぬいたもので、丸木舟製作の技法が反映されたものと推測される。
(県立郷土館学芸課長 古川実)
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by aomori-kyodokan | 2013-08-15 10:17 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

(十和田市立新渡戸記念館・青森県立共催展)  『世界の蝶 展 ~ 山内博尚コレクションより~』

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 2004年、青森県立郷土館に一括寄贈された、日本及び世界各国の蝶の標本をはじめとする膨大な資料「山内博尚コレクション」から、東南アジア産を中心に、特に美しい世界の蝶の標本およそ1150点と世界最大のセミ「テイオウゼミ」をはじめとする珍しい昆虫の標本41点、山内氏が研究に訪れた東南アジアの民俗資料や蔵書などを展示します。


 『世界の蝶 展 ~山内博尚コレクションより~』
場所:十和田市立新渡戸記念館
    〒034-0031 青森県十和田市東三番町24-1
日程:8月7日(水)から9月29日(日)まで
料金:十和田市立新渡戸記念館の通常入館料で観覧できます。

会場地図

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by aomori-kyodokan | 2013-08-09 11:27 | 共催展 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第10回 十和田裸婦像のための小型試作

乙女の像 当初は1人

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高村光太郎「十和田裸婦像のための小型試作」


 十和田湖畔に「乙女の像」が建立されて2013年で60周年となった。十和田国立公園15周年を記念して、十和田国立公園功労者顕彰会が高村光太郎に製作を依頼したものである。同会は明治末期に十和田湖を観光地として広く世に紹介した文人大町桂月、当時の青森県知事武田千代三郎及び十和田村長小笠原耕一の3名を顕彰するために結成され、会長には津島文治青森県知事が就任した。
光太郎は、まず小型と中型の試作を作り、小型試作は顕彰会に贈られ、その後長らく県庁秘書課の応接室に置かれていた。2011年の郷土館特別展「十和田湖・八甲田山」での展示をきっかけに、引き続きエントランスホールに常設展示することになったのである。
 乙女の像は当初、一人でポーズをとって立つ像が考えられていた。しかし、一人では淋しく感じられたので、同じものを向き合わせることにした。それにより、像と像の間に出来る左右対称の空間をも楽しむことができるというもくろみもあったという。
(県立郷土館学芸課副課長 竹村俊哉)
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by aomori-kyodokan | 2013-08-08 10:13 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第9回 県重宝 漆塗浅鉢形土器・漆塗壺形土器

亀ヶ岡文化の到達点

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漆塗浅鉢形土器


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漆塗壺形土器


 県立郷土館の風韻堂コレクションは約11,000点にのぼる膨大な数の考古資料で、昭和47年、青森市の大高興氏から翌年に開館を控えた郷土館に一括して寄贈された。工芸的・学術的に特に貴重なもの4件(63点)が県重宝に指定されている。その中で、亀ヶ岡遺跡から出土した漆製品は亀ヶ岡文化の漆工芸の到達点を示す優品である。  
 漆塗浅鉢形土器は黒色漆と赤色漆を塗り分けて、ダイナミックな雲形文様を描き出している。漆塗壺形土器は全面赤色漆を塗り、口縁部の装飾以外は無文とする。下地の暗褐色が透けて、やや落ち着いた色調である。シャープな器形と相まって、抑制された美しさを感じさせる。
(青森県立郷土館主任学芸主査 中村哲也) 
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by aomori-kyodokan | 2013-08-01 09:17 | ふるさとの宝物 | Comments(0)