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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第8回 アオモリムカシクジラウオの化石

世界唯一、貴重な資料

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アオモリムカシクジラウオの化石。体長は約8センチ


 県立郷土館では、県内から産出したさまざまな化石を展示しているが、その中のひとつに「アオモリムカシクジラウオ」がある。これは、郷土館が開館した1973年から深海魚の化石として展示されていたものであるが、2000年から詳しい研究を行った結果、深海魚「クジラウオのなかま」としては世界唯一の新種の化石であることがわかり、2007年に「アオモリムカシクジラウオ」と命名、発表された。
 化石は青森市の荒川上流で発見された。深海魚は一般に、ぶよぶよした軟らかい体をしているため化石になりにくいが、この化石は奇跡的にかなり細かいところまで観察可能なほどよい状態で保存されていた。化石が保存されていた岩石は約1500万年前の凝灰質泥岩だったことから、この化石は当時の青森県が深い海の底であったことを私たちに教えてくれる。現在、この化石は今後の研究の基準となる大切なものであることから収蔵庫に保管されており、展示はパネルのみとなっている。
(県立郷土館学芸課副課長 島口 天)
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by aomori-kyodokan | 2013-07-25 09:14 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第7回 吉田初三郎の鳥瞰図

岩木山から富士山まで

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吉田初三郎作 鳥瞰折図 『国立公園 十和田湖』(部分)
1933(昭和8)年 十和田観光会 発行


 吉田初三郎とは、大正から昭和30年まで、観光地や鉄道の沿線などを案内する観光鳥瞰(ちょうかん)図を描いて人気を博した画家である。鳥瞰図とは、上空から斜め下に見下ろすような視点で描いた地図や絵画である。彼は、八戸市種差にアトリエ「潮観荘」を持ち、多くの弟子たちとともに製作活動を行っていたことで知られている。
 写真の『国立公園 十和田湖』は、最も色彩が豊かで、彼特有の画風が確立した全盛期の作品で、十和田湖を三沢方面からの視点で描いたものである。湖周辺随一の名所である奥入瀬渓流と、それに寄り添うように進む鉄道や道路が中央に描かれている。湖の標高が紙の上下幅いっぱいにまで強調され、この視点をしても見渡せそうもない岩木山、東京や富士山まで描かれているのは、彼独特の表現である。
(県立郷土館主任学芸主査 佐藤良宣)
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by aomori-kyodokan | 2013-07-18 09:12 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第6回 県重宝・漆入鉢形土器(亀ヶ岡遺跡出土)

縄文の高い技術伝える

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亀ヶ岡遺跡から出土した漆入鉢形土器(県重宝、風韻堂コレクション)


 当館が所蔵する風韻堂コレクションは、考古資料を中心に約11,000点を数える。その中に県重宝に指定されている亀ヶ岡遺跡出土品63点があり、漆塗土器・漆入り土器・漆塗り櫛が含まれている。縄文時代晩期亀ヶ岡文化の藍胎(らんたい)漆器、漆器、漆塗り土器など漆製品は、現代のものと変わらない高い技術で作られている。
漆入鉢形土器は木から採った樹液を入れたと考えられ、縄文人の漆利用を復元するうえで貴重な資料である。この土器の中には固まった漆があり、状態から数回にわたって樹液を入れたと思われる。さらに漆と共に、植物の繊維のようなものが入っている。植物の繊維は樹液を採る際に使われたものだろうか? 亀ヶ岡遺跡では漆を漉(こ)した布も出土し、集落内で漆が製作されていたことは明らかである。
(前県立郷土館主任学芸主査 伊藤由美子)
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by aomori-kyodokan | 2013-07-11 09:20 | ふるさとの宝物 | Comments(0)

ふるさとの宝物 第5回 松山忠三のパスポート

渡英後はつかうことなく

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松山忠三が渡英時に使用したパスポート


 青森県立郷土館に美術部門が置かれたのは、平成元年からである。以来、青森県出身作家の特別展をおおよそ年1回のペースで開催して来たが、当館の美術作品(資料)については、その特別展の開催が切っ掛けとなって寄贈していただく場合が多い。
 当館が1996年9月に開催した特別展「日本近代水彩画の全盛期と松山忠三展」は、板柳町出身の水彩画家松山忠三(1880~1954年)の水彩画115点を展示したもので、忠三が描くみずみずしい透明感にあふれた英国の風景画と、第二次世界大戦を挟んで英国と日本のはざまで苦悩した彼の波乱の人生が、多くの方々の共感を得、その結果、開催日数23日入館者11,766人という高い数字を示した。
 紹介の資料は、忠三展の開会式に参列の為、英国から来日した忠三の長男、エリック・マックスウエル氏が、当館に寄贈された資料のひとつ――忠三が英国に旅立つ時に使用したパスポートである。出発時には、自分がパスポートを使用することがその後二度とない運命を知るよしもなかったであろう。父の苦労を間近でみていたエリック氏は、忠三が1947年に英国籍を収得したあと「私は日本人だしこれからも変わることはない」とつぶやいたことを記憶している。
(前県立郷土館副課長 對馬恵美子)
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by aomori-kyodokan | 2013-07-04 09:14 | ふるさとの宝物 | Comments(0)