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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第131回 庚申様の柱

津軽の特色ある習俗

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神名などが墨書された庚申(左)と二十三夜の柱(右)


 写真の庚申(こうしん)様掛図の両側に立つ柱は、五所川原市のショッピングモールが見えるバイパス沿い、唐笠柳町会が祀る庚申と二十三夜の石塔の後ろに立てられていたものである。柱の先端に松の枝、その下に山と日月を描いた横板を取り付け、左側の庚申には「猿田彦大神」「天鈿女命(あめのうずめのみこと)」、右側の二十三夜には「月読命(つくよみのみこと)」の神名などが、柱面に墨書きされている。
 庚申の日の夜は人々が集まり、寝ずに身を慎み時を過ごすという庚申信仰は、全国的によく知られている。庚申の日は年に6回あるのが普通であるが、7回の七庚申、5回の五庚申の年は、七庚申の豊作、五庚申の不作という俗信などもあり、特別な祭事をすることがあった。
津軽地方においては、そのような年にツカなどと呼ぶ標柱を立て庚申を祀っており、特色ある習俗とされる。唐笠柳では現在、毎年柱を取り替え庚申と二十三夜を同日に祀っているそうで、かつての習俗の変化などが推察される。
 本日は二十四節気の立春。この日を新年の始まりとする場合もあるので、あらためて申年にちなみ、申と関わりがあるとされる庚申様の資料を紹介した。
(県立郷土館学芸課長 古川実)
by aomori-kyodokan | 2016-02-04 09:41 | ふるさとの宝物
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