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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第17回 お山参詣用具

かつて登拝者が着用

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カブリやお供え入れなどのお山参詣用具


 津軽地方のシンボルとされる岩木山は、山岳信仰の対象となる聖地であり、山頂に奥宮を祀り、麓の百沢に里宮の岩木山神社が鎮座する。旧8月1日、山頂を目指して奥宮に参拝するお山参詣(ヤマカゲ)の行事が行われ、津軽地方を主にして広域からの参拝者が集まる。岩木山神社境内では、登山囃子があちこちから聞こえ、長さ3メートルを超える大きな御幣や幟が奉納される。
 写真は、お山参詣の登拝者が身につけたもので、昭和45年から49年にかけて寄贈された。藁製のお供え入れ(ツトと方形のもの2点、餅を入れた)、神酒を入れたひょうたん型のガラス瓶と小さな酒樽。登拝者はこれらを背に負ったり、腰に結びつけたりし、銭と米粒を入れた白布のずた袋を首から下げた。藁製で鳥居をかたどったカブリ(冠)は、頭に被り、紐であごに結んだもので、鰺ヶ沢方面からの登拝者が被ったという。このような登拝者の姿は、現在見かけることがなく、習俗の変化を知ることができる貴重な有形の民俗資料である。
(県立郷土館学芸課副課長 古川実)
by aomori-kyodokan | 2013-09-26 10:20 | ふるさとの宝物
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