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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第129回 ティーカップ

70年前の小さなおもちゃ

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小さなティーカップ


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皿の裏には「占領下の日本製」を意味する文字が記されている


 クリスマスにお正月が終わりました。子供たちはお気に入りのおもちゃを手にして、笑顔になったことでしょう。
さて、写真のティーカップは約70年前に作られたおもちゃです。隣に置いたクリップと比較してもらうとわかるように、皿の直径は3.9㎝、ティーカップの高さは1.7㎝の非常に小さい物です。皿の裏には「MADE IN OCCUPIED JAPAN(占領下の日本製)」とあり、日本がアメリカの統治下にあった1945~52年の間に作られたおもちゃであることがわかりました。
日本のおもちゃは占領軍による玩具の輸出奨励策によりアメリカ向けに輸出され、おもちゃは日本の貿易を支える産業の一つとなりました。かつて軍備に利用された材料がおもちゃに加工され、アメリカの子供たちを笑顔に、その外貨で日本は食料品を輸入し、日本の子供たちが笑顔に、おもちゃはいつの世も子供のための物でありました。
現在、青森県立郷土館では企画展「大中小展」を開催しております。写真のティーカップのセットの他、さらに小さいドールハウス用のティーセット、普段使うティーカップが展示されていますので、その大きさの違いも是非ご覧いただきたい。
(県立郷土館学芸主査 伊藤啓祐)
by aomori-kyodokan | 2016-01-21 10:04 | ふるさとの宝物
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