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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第24回 蝦夷錦龍文打敷

アイヌと清国の交易品

ふるさとの宝物 第24回 蝦夷錦龍文打敷_b0111910_16344257.jpg

蝦夷錦龍文打敷えぞにしきりゅうもんうちしき 107.6cm×142.0cm


 江戸時代、アイヌの人びとは北東北・北海道・カラフト・千島に分住し、その地の自然環境に合わせた生活を営んでいた。農業を覚えて定住する者もいたが、基本的には狩猟や漁業で暮らしを立て、時には和人のために荷運びや鉱夫として働いた。また、中国大陸へ渡り、清国から下賜された品物を松前へ持ち帰る者もいた。いわゆる山丹交易である。
 そうした交易品のひとつが「蝦夷錦」で、昭和17(1942)年に鰺ヶ沢町で初めて確認されて以来、青森県では40例ほどが見つかっている。なかには「蘇州織造臣銘海」「蘇州織造臣舒文」と文字が織り込まれたものもあり、長江河口部の都市蘇州で織られた布地で作られた可能性が指摘されている。
 本品は、松前で漁場を経営していた小泊村の播磨屋六兵衛が安政5(1858)年ごろに入手し、仏事用の打敷に仕立て直したもの。龍の文様がみごとである。
(前県立郷土館研究主幹 本田 伸)
by aomori-kyodokan | 2013-11-27 16:28 | ふるさとの宝物
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