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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第28回 えんぶりの烏帽子

囃子にあわせ豊作を願う

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県立郷土館で展示しているえんぶりの烏帽子


 三八地方を中心に行われるエンブリは、世の中の豊年満作を願う、小正月の予祝行事が民俗芸能化したものである。馬の頭を模した烏帽子を被った太夫たちが、囃子と親方の音頭に合わせて、摺りと呼ぶ田作りの所作を演じる。親方はザイと呼ぶ棒を振り、太夫演じる馬を采配するとされる。途中、子供たちも加わって松の舞、恵比寿舞などの祝福舞も披露される。
 各ムラのエンブリ組は、産土神社で演じた後、地元各戸を訪れるほか、マチにも繰り出して門付けを行う。2月17日から20日にかけて、八戸市街ではあちこちから、エンブリの囃子と観衆の拍手や笑い声とが聞こえ、のどかな新春の風景が展開する。
 写真は、エンブリの烏帽子である。郷土館開設準備中の昭和46年に寄贈されたもので、民俗展示に必須の資料として、いち早く収集されたものと察せられる。烏帽子の内側に「上頃巻沢」(現八戸市南郷区)の墨書があり、本来は当地の神社に、隠居様として静かに安置されていたものと思われる。
(県立郷土館学芸課長 古川実)
by aomori-kyodokan | 2014-01-09 10:32 | ふるさとの宝物
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