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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第38回 狩猟文土器

縄文人たちの心反映?

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八戸市韮窪遺跡から出土した狩猟文土器(写真:小川忠博氏撮影)


盛り上がった背中に短く突き出た手足、四つ足の獣を写したものだろう。向かって左、その脇腹には弓矢が突きつけられている。右側に描かれるのは樹木だろうか。裏側には四角の中心に丸と斜線が描かれており、罠猟の様子を描いたものとも言われている。
縄文人は弥生人に比べると絵を描かなかった。しかし、縄文人も絵を描かなかったわけではない。狩猟の様子をモチーフにした狩猟文は、本品に見るような要素の一部が欠落するものもあるが、縄文時代中期の終わりごろから後期の初めごろ、東北南部から北海道南部まで広範囲に分布し、広く共有されていた。縄文時代中期の終わりから後期の初めは、気候が寒冷化し、縄文社会に大きな変化が生じたとされる。狩猟文は縄文人達の心を反映しているのかも知れない。本品は狩猟文土器で、県重宝に指定されている。
(県立郷土館主任学芸主査 中村哲也)
by aomori-kyodokan | 2014-03-20 14:50 | ふるさとの宝物
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