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ふるさとの宝物 第53回  今純三の油彩画「信子像」

幼子を描いた幻の秀作

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今純三「信子像」(44.5センチ×33.3センチ、1926年)


 オカッパ頭の女の子の無垢な視線に思わず引き込まれる。そのふっくらとした頬に思わず触れて見たくなる。人の長い一生の中で幼子(おさなご)だけが持つひとときの輝きに、なにか胸をつかれる。そんな思いをさせるこの作品を描いたのは弘前出身の画家、今純三(1893~1944)である。
 純三による油彩画「信子像」が当館に寄贈されたのは2007年のことで、それまで今純三の画集や展覧会目録等にも掲載されたことがなかったために、存在が知られることがなかった。まさに幻の一点と言えるものである。
 純三の画歴をみると、前半の東京時代は油彩画家としての制作が中心であり、大正12年青森に移住してからは銅版画の制作が中心となる。これにともない、純三の作風も印象派風の情感あふれる描き方から、どこまでも正確さと緻密さを追求する写実の方向へと変化していった。この作品はちょうどこの中間地点に位置し、写実でありながら幼子(おさなご)の愛くるしさが見事に表現され、純三の代表作の油彩画「バラライカ」にならぶ秀作といって良いであろう。
(前県立郷土館学芸課副課長 對馬恵美子)
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by aomori-kyodokan | 2014-07-03 15:27 | ふるさとの宝物 | Comments(0)
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