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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第113回 独鈷石(どっこいし) (県重宝、風韻堂コレクション)

呪術用? 特異な形の石器

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 独鈷石(どっこいし)という言葉から、写真の資料と結びつくだろうか。名称は仏具の独鈷に似ていることから名付けられた石器である。縄文時代後期から晩期に現れ、比較的東日本に多い。他の石器に比べ出土例はまれで、県内では10例ほどしかない。
 資料はつがる市亀ヶ岡遺跡から出土した縄文時代晩期の石器である。長さ16.1cm幅3.1cm。資料全体は良く研磨されているため表面は滑らかで、光沢のある黒い色をしている。中央部には帯状の突起が二つ巡る。この突起を仏具では鍔(つば)と呼ぶ。端部の形状は磨製石斧(ませいせきふ)の刃先に似ていることから、石斧に区分されることもある。
 実際の用途については未だ解明されていない。多くは、実用的な道具というより、石斧の特徴をもつ生業にかかわる呪術的な道具と考えられている。このように考古資料には用途が特定できない特異な形状のものもある。果たしてこの石器に託された縄文人の思いとは。
(青森県立郷土館 主任学芸主査 杉野森淳子)
by aomori-kyodokan | 2015-09-24 15:19 | ふるさとの宝物
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