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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第58回 炭火アイロンと火のし

明治から変わらない形

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炭火アイロン(上)と火のし


 炭火アイロンは、明治時代に広く普及した。明治時代の日本は、既に火鉢や行火(あんか)などで炭を利用していたので、炭を熱源とする炭火アイロンは日本人にとって都合のよいものであった。形をよく見てみると、現在のアイロンと大きく変わらない。それほどアイロンに適した形であった。違う点に着目すると、炭から出る煙を出す煙突が付いている。写真には写っていないが、後方部には空気穴がついていて、その開閉で火力の調節を行うことができた。
 では、炭火アイロンが普及する前はどうだったのかというと、火のしを使っていた。火のしは平安時代に中国から伝わり、江戸時代に広く普及した。上方部が広いため、炭の量で火力を調節でき、その点は炭火アイロンより簡単である。
 炭火アイロンの写真は、よく見ると「火のし(右から読む)」と書いてある。アイロンという名前が一般的になっていない時代は「火のし」の方が分かりやすかったのだろう。
 この炭火アイロンは、郷土館が行っている出前授業「古い道具と昔の暮らし」で、現在も数千人の小学生を相手に活躍中である。
(県立郷土館主任研究主査 豊田雅彦)
by aomori-kyodokan | 2014-08-07 11:50 | ふるさとの宝物
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