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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第101回 ニコニコの綿入れ

愛らしく暖かい幼児用

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幼児用に手縫いされたニコニコの綿入れ


 「懐かしいねぇ」。70代後半以上の方々に尋ねると、そんな声が漏れる。「ニコニコ」は昭和30年代頃まで使われた木綿地の一種。安価で丈夫なことから、普段着や仕事着、子どもの着物の布地として、本県でも広く用いられた。
 写真の資料は、ニコニコで作られた一ツ身の綿入れ。1~2歳頃の幼児に着せたものだろう。包みこむように抱くため、丈は長めに仕立ててある。歩き始めれば着丈にあわせ腰アゲをとる。衽(おくみ)や肩アゲも、成長にあわせるための配慮であり、着物をかわいく見せるポイントでもある。
 男の子用だろうか。ニコニコによくみられる絣(かすり)風の柄に、あさぎ色の腰ひもがまぶしい。一人歩きする前は、このひもを身八つ口から出して前で結ぶ。寝ていることが多い時分、結び目が背中にあたって煩わしくないようにとの思いやりからだ。
 既成のベビー服もかわいいが、子の成長を願いながら手縫いされたこの綿入れは、なお愛らしく温かそうに見える。
(県立郷土館研究員 増田公寧)
by aomori-kyodokan | 2015-07-02 15:57 | ふるさとの宝物
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