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ふるさとの宝物 第93回 家印

家の呼び名や格を表す
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家の呼び名や格を表す


 民具を観察していると、刻印や焼き印を見つけるときがある。写真は展示資料から見つけた印で、左はヤマモト、右上はカクナカ、右下はリュウゴ(立鼓)と呼んだものと思う。建物や船、墓、道具類などに、それを所有する家を示すため付けられたもので、民俗学では家印と呼んでいる。印の呼び名が世間での家の呼び名になり、カネサ、ヤマサなど大店の屋号や商標にも用いられた。
 同族の家は同じ印を使うことが多く、家の新旧、本分家などの区別をヤマイチ、ヤマニというように数字などを付けて示したので、家印からその家の社会的な位置付けを推測できる場合もある。農具をほったらかしていると、家印からどこの家の農具かすぐ判り、その家の評価にも関わってくると教わったことがある。印を付けることは、日々の生活態度に責任を持つことでもあるということであろう。
 民具に刻まれた印は、ムラではどんな意味を持っていたのか、どんな人が使っていたのかなど、いろいろな事を考えさせてくれる。
(県立郷土館学芸課長 古川実)
by aomori-kyodokan | 2015-04-30 09:13 | ふるさとの宝物
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