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青森県立郷土館ニュース

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ふるさとの宝物 第98回 奈良岡正夫の油彩画「閑日」

命の優しさ、深い愛情


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奈良岡正夫「閑日」(油彩、キャンバス)


 弘前市出身の油彩画家奈良岡正夫(1903~2004年)は、ヤギを好んでテーマにしたことから「ヤギの画家」と称される。奈良岡は、戦時中、その写実力を見込まれ、従軍画家として戦地に赴き戦争記録画を残した。人間が争い、苦しむ姿を目の当たりにした体験により、戦後は物言わぬ動物達に心を惹(ひ)かれていったという。
昨年、山羊の親子を描いた作品、岩木山など故郷の風景を題材にした作品などが当館に寄贈された。写真の「閑日」の制作年は分からないが、題材としてはあまり多くない、人物を描いたものである。大人の手元を見つめる幼子、その後ろ姿に注がれる優しい眼差しと穏やかな空気を感じさせる。
1997年に発行された『奈良岡正夫画集』(生活の友社)に同じ構図の「孫」(90年)と題した作品があるが、「閑日」は、生涯絵筆を握り続けた画家の、命に対する優しさと愛情の深さ、力強さがより伝わってくる。
(主任学芸主査 太田原慶子)
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by aomori-kyodokan | 2015-06-11 12:00 | ふるさとの宝物 | Comments(0)
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