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青森県立郷土館ニュース

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写真で見るあおもりあのとき 第133回 田打ち 手から機械へ 昭和30年代過渡期撮影

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①三本鍬による田の耕起

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②牛の犂による田の耕起

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③動力耕耘機による田の耕起





 今回の3枚の写真が撮影されたのは全て1956(昭和31)年で、全て同じ農作業をしている場面です。春になって雪が消えると農家の人たちは田の土を起こし、細かく耕す作業にとりかかります。これを田打ちといいました。
 写真①は最も古くから行われてきた田打ちです。手に持った三本鍬という農具で土を打ち起こしています(南部地方では四本鍬も使用していました)が、これはとても重労働でした。
 そのため、明治時代になってから牛馬に犂(すき)を引かせて耕すという畜力を利用する方法も用いられるようになってきました。それが写真②で、この犂を県内ではバッコウとかカナシギといいました。しかし、牛馬を所有しない農家や、牛馬が入れないぬかり田の場合などでは相変わらず三本鍬を用いた手作業も継続して行われてきました。
 そして、戦後の昭和30年代になると動力耕耘機が普及してくるのです。写真③はそれを使用している場面です。そしてこれ以降、三本鍬や牛馬用犂は次第に姿を消していきます。これらの撮影された写真から、この時期が古い農法から新しい農法への過渡期であったことを知ることができます。
(靑森県立郷土館客員学芸員・成田 敏、写真はいずれも佐々木直亮氏が昭和31年弘前市近郊で撮影)
by aomori-kyodokan | 2013-03-14 08:00 | 写真で見るあおもりあのとき
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