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写真で見るあおもりあのとき 第113回 脱穀後に残ったワラ 余すところなく利用

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田ニオを積む


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敷地内に大ニオが点在する農村の風景




 刈り取った稲は、シマダテやハサガケ、ボウガケ等の方法で乾燥した後、田んぼの一角に稲を積み上げて田ニオを作ります(上の写真)。さらに、そこで完全に乾燥させた後、家に運んで敷地の中で大型のニオに積み上げます。これを大ニオといいました。そこから少しずつ屋内の作業場に運び、脱穀作業を行いました。
 下の写真は少し雪が積もった岩木山麓の集落を撮影したものですが、農家の庭先に大きなニオが点在しているのを見ることが出来ます。津軽の農村風景をとらえたすばらしい写真ですが、実は大ニオの写真は非常に少なく、資料的にも非常に貴重な写真です。
 脱穀作業は時代によって大きく変化します。江戸時代以前は)<./rp>ばし、江戸時代以降から明治大正、昭和時代初期まで千歯扱き、戦後の動力化以前までは足踏み脱穀機が用いられました。千歯扱きと足踏み脱穀機は、小学校の稲作体験学習でも使われるので、使った経験のある方も多いと思います。
 動力化以前は、脱穀と精米作業は手間と時間のかかる作業でした。農家によっては、全ての作業が終わるのは年が明けて、小正月(1月15日)も近い頃になりました。
 脱穀した後に残るワラは、稲と同様敷地の中に積み上げます。これをワラニオといい、大ニオよりも一回り大きく作りました。写真下のニオにはワラニオが含まれているかも知れません。ワラは、飼っている馬の飼料や馬小屋の敷きワラとして利用され、敷きワラは馬屋肥として堆肥の材料となりました。また、ワラ縄やムシロ、ワラグツ、ワラジ、ゾウリの材料など、貴重な資源として余すところなく利用されました。
(県立郷土館・昆 政明、写真はともに佐々木直亮氏撮影)
by aomori-kyodokan | 2012-10-18 08:00 | 写真で見るあおもりあのとき
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