手で行う除草作業
手押し除草機での除草作業
コメ作りの中で、6月から8月の暑い盛りに行う除草作業は、春先の田打ちと並んで、最もつらい作業でした。除草作業は稲を植えてから2週間ほどして
一番草という1回目の作業を行い、その後二番草、ていねいな農家では三番草まで行い、最後に「
稗抜き」を行います。
この作業は「除草」の目的以外に
中耕という、重要な役割があります。中耕とは、作物の生育中にその間の土の表層を浅く
耕耘する作業で、除草とともに水田の土を軟らかく通気性を高めるという大切な機能があります。
除草作業は主に女性の仕事で、中腰で四つんばいになり、指先で土をかき回す作業が続きます。素手では爪を痛めるため指先にワラで編んだものや竹、金属製の筒をはめて作業しました。江戸時代の文献『
奥民図彙』にはウツギや虫の巣の「
手管」をはめた、と記載されています。
昭和時代初期に入ると青森県でも「手押し除草機」が普及し、除草にかかる負担は大きく軽減されました。写真は昭和30年代、津軽地方の水田で行われていた手作業と除草機を使った除草作業の様子です。
手押し除草機を能率的に使うには、苗が整然と植えられている必要があります。そのため、手押し除草機とともに田植えのカタが普及し、収量の増加にも貢献したといわれています。近年では除草剤の使用により除草機も使われなくなってきましたが、無農薬栽培への関心の高まりとともに機械除草技術を見直す動きがあります。
(県立郷土館学芸員・昆 政明、写真はいずれも佐々木直亮氏撮影)