カタ付け。カタといわれる定規を転がして格子の型を付ける
田植えの様子。犬皮の背中当てを着ている
機械化以前の田植えは、3、4軒の農家の共同作業で行いました。これをユイ(ユイッコ)といいます。
田植えは役割分担を決められていました。まず、苗代から苗を取り上げるのは、年寄りも加わった男衆が行います。苗運びは力仕事になりますので、若い男衆が担当し、苗を植えるのは女衆の仕事でした。
苗を補給するのはナエマキといい、これには子どもたちも大活躍しました。
写真は昭和31年5月30日に津軽平野で行われた田植えを撮影したものです。田植えでは上の写真のように、カタといわれる定規を転がして格子の型を付けてから、下の写真のように前進しながら植えていきます。
カタを使用する以前は、田に張った縄を基準に後ずさりしながら植えていきました。前に進むようになったのは、付けた型を足跡で消さないためです。
また、古くは「まわり田植え」といって、田の中央部から周囲に向かって同心円状に植える方法が取られていました。カタは耕地整理や乾田化など、基盤整備が進んでから用いられるようになったもので、整然と苗が並ぶことから、手押し式の除草機の使用にも便利でした。
(県立郷土館学芸員・昆 政明、写真はいずれも佐々木直亮氏撮影)