苗代作りの様子。丁寧に耕した苗代を平らにならしていく
苗代に油紙(ビニール)をかぶせる
桜の季節も終わり、農作業は田植えの最盛期となっていますが、田植えのことをゴガツ(五月)ともいいます。しかしここでいう五月は、旧暦五月のことですから、以前の田植えは現在より一月以上遅く行われていたことになります。
水稲の栽培では、
苗代で育てた苗を水田に移植して育てます。その移植作業が「田植え」です。稲作を安定させるには、早く丈夫な苗を育て早期に田植えを行うことが必要でした。そのために工夫されたのが
保温折衷苗代です。これは種まきした苗代を、油紙で覆い保温するもので、種まきの時期早めるとともに苗の生長を促進することが出来ました。同じ頃に急速に普及した耐冷性品種、藤坂5号と組み合わせることによって、本県における稲作の安定と増産が可能となったといわれています。
上の写真は苗代作りの様子で、丁寧に耕した苗代を平らにならしています。ここに
種籾をまき、焼き籾殻をかけてから、下の写真のように油紙をかぶせ、脇を泥で押さえていきます。ただ、ここでは油紙に変わって普及したビニールが用いられているようです。
(県立郷土館学芸員 昆 政明、写真はともに昭和30年代、佐々木直亮氏撮影)