人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

青森県立郷土館ニュース

kyodokan.exblog.jp

写真で見るあおもりあのとき 第24回「気候を利用して天然の氷づくり」

写真で見るあおもりあのとき 第24回「気候を利用して天然の氷づくり」_b0111910_8555026.jpg
↑写真1





写真で見るあおもりあのとき 第24回「気候を利用して天然の氷づくり」_b0111910_856964.jpg
↑写真2
写真で見るあおもりあのとき 第24回「気候を利用して天然の氷づくり」_b0111910_8562970.jpg
↑写真3
写真で見るあおもりあのとき 第24回「気候を利用して天然の氷づくり」_b0111910_8564621.jpg
↑写真4

 青森県立郷土館の近くに、大正9年に設立された古い歴史を持つ青森製氷株式会社があります。残された資料の中に、昭和29年(1954)2月に撮影された、青森市三内にある笹森沼で行われた天然氷の製造工程を記録した貴重な写真がありました。

 工程の最初は、雪踏みです。ワラグツを履いて、降り積もった雪を踏み固めます(写真1)。この上に水をまいて凍らせカンナがけで表面を平らにし、また水をまくという作業を繰り返します(写真2)。氷が規定の厚さ(約30cm)になったら、特殊なノコで機械氷と同じ大きさ(112cm×55cm)に切っていきます(写真3)。そして、簡単なやぐらを組んで切った氷を沼から引き上げます。一塊の氷は、人力ソリで近くの馬ソリやトラックまで運ばれ(写真4)、最後は青森市本町の貯氷庫に納められたそうです。

 このような天然氷は「雑氷」と呼ばれ、人間の体内に入るような用途には使われず、もっぱら、漁船での冷蔵や貨車でのリンゴ輸送の際の冷蔵に使われたそうです。機械氷の製造が間に合わないほどの需要があった時代の事とはいえ、自然の気候をうまく活用した製造方法だったといえます。
(青森県立郷土館:相馬信吉) 
写真提供:青森製氷株式会社  

 

※県立郷土館は、県内の行事や街並み、農民の暮らしぶりなどを撮影した古写真を、広く県民の提供を受けるなどして収集しています。当館がこれまで集めた写真の一部を紹介しながら「ちょっと昔のあおもり」の記憶を52回にわたってたどってみます。(この項は、東奥日報社連載記事を転載したものです。)
 昔の写真などをお持ちの方は、青森県立郷土館(電話017-777-1585)までご連絡ください。            
by aomori-kyodokan | 2011-02-03 08:58 | 写真で見るあおもりあのとき
<< 写真で見るあおもりあのとき 第... 写真で見るあおもりあのとき 第... >>