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「北斎の富士」新聞連載 第5回「さい穴の不二」

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 この絵の中でまず目に付くのは、障子に逆さまに映った富士山とそれを見て驚く二人の人物でしょう。なぜ、障子に富士山が逆さまに映っているのでしょうか。

 実は、その答えの鍵を握っているのは箒を持っている人物で、この人物が指差している先には、雨戸に開いた小さな穴があります。絵のタイトルにある「さい穴」は「節穴」という意味で、この小さな穴のことを指しています。雨戸の外には雄大な富士山がそびえており、富士山に当たって散乱した光の一部がこの小さな穴を通り抜け、障子に上下・左右が反転した像を映し出したのです。

 このような現象は古代から知られていたようで、中世のヨーロッパでは画家が風景画のスケッチをするためや科学者が太陽などを観測するために、これを利用していたという話もあります。ただ、小さな穴を通って入ってくる光は非常に弱いため部屋を暗くする必要があり、この絵では暗い家の中として表現されていませんが、本当は雨戸を閉め切った真っ暗な状態でようやく障子に映っている富士山が確認できたと思われます。

 もう一つ、障子に映った富士山について気になることがあります。それは、像が二重に映っているということです。実験してみたところ、穴が二つ開いていれば像が二重に映ることが確認できました。箒を持った人物の指先には、穴は一つしか無いように見えますが、実際には縦に並んだ二つの穴があったのかもしれません。

 また、穴が一つしか無いとした場合の別の考え方として、富士山とその側火山である宝永山が映っていることが考えられます。宝永山は富士山の南東麓にありますので、この家が富士山の南東側にあれば富士山の手前に宝永山が見え、この絵のような山の配置になると思われます。
(青森県立郷土館主任学芸主査・島口 天)

※現在、青森県立郷土館では東奥日報社と共催で「北斎の富士」を下記のとおり開催しています。これに関連して、紙上に10回にわたって、見どころを紹介する記事を掲載する予定です。ご期待ください。

□期日 10月30日(土)~12月5日(日)
□時間 10月30日・31日は9時~18時(入館は17時30分まで)
      11月1日以降は9時~17時(入館は16時30分まで)
□会場 当館1階特別展示室(大ホール)
■料金 一般・大学 800円(600円) 中学・高校 400円(300円)
      小学生以下は無料 ※(  )は前売りおよび20名以上の団体料金
■問い合せ先 東奥日報社・読者事業局事業部
〒030-0180 青森市第二問屋町3-1-89 電話=017-739-1249 FAX=017-729-2352
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by aomori-kyodokan | 2010-11-22 10:07 | 北斎 | Comments(0)
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