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第3回北東北三県共同展~境界に生きた人々~東奥日報連載第2回

①新幹線開業の副産物
 今年の12月4日、東北新幹線の新青森駅が開業するが、その工事にともない、貴重な古代の遺跡が発掘された。新田(にった)(1)・新田(2)遺跡を含む石江(いしえ)遺跡群である。

 新城川(しんじょうがわ)右岸の、標高5~8メートルの丘陵地及び沖積地(ちゅうせきち)に立地している。平安時代、九世紀後半から11世紀中頃にかけての竪穴(たてあな)住居跡、掘立柱(ほったてばしら)建物跡、溝跡、井戸跡などが検出された。特に10世紀中頃からは、集落のまわりに溝をめぐらせていたことが明らかになった。
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②少ない本県の古代遺物
 土器類では、土師器(はじき)や須恵器(すえき)のほか、擦文(さつもん)土器が出土している。ほかに、鉄滓(てっさい)や鍛造(たんぞう)剥片(はくへん)など鉄生産に関わるものがある。また、多量の木製品が出土しており、檜扇(ひおうぎ)(=写真)や荷札木簡(もっかん)・習書(しゅうしょ)木簡(文字の練習をしたものか)のほか、馬形・鳥形・刀形・族(ぞく)形などの祭祀(さいし)具が含まれていた。丘陵上の井戸跡からは、土師器とともに、木製仏具なども出土した。

 木製品の樹種同定を行った結果、ほとんどがヒノキアスナロ(ヒバ)であった。このことから、在地産の木材を利用して作られた可能性が高い。伐採年も、上限で西暦880年という数値が出ている。ヒバを利用した木製品は曲物(まげもの)や椀にも及び、多くを占めている。

 律令制の支配が及ばない地と考えられてきた青森県で、律令祭祀具に似た木製品や仏教的な要素をもつ木製品が出土したことは、当時の社会の様相を知るうえで重要である。
(青森県立郷土館 学芸主査 伊藤由美子)

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 「境界に生きた人々」は9月17日(金)~10月24日(日)。9月25日(土)は記念講座。詳しくは県立郷土館017―777―1585へ
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by aomori-kyodokan | 2010-09-26 16:37 | 企画展・特別展 | Comments(0)
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