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青森県立郷土館ニュース

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妖怪展展示解説 第1回 「妖怪の世界-百鬼夜行から妖怪図鑑へ-」

 
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↑「百鬼夜行」東北大学附属図書館蔵

 古代には、怪異現象や化け物が出現すると、それがどのような危険を知らせているのか、王権が判断し、儀礼や祈願をして鎮める習わしがありました。当時の公家の日記には、夜な夜な平安京の大路を、姿のない「もののけ」と呼ばれる化け物たちが歩いていたことが記されています。彼らは室町期の百鬼夜行絵巻のなかで姿を与えられましたが、それは鬼や獣、古い道具が化けた「つくも神」たちの集団でした。

 社会や政治が不安定になると怪異は増えました。各地でさまざまな人々が、不可思議な現象や化け物を記録するようになります。江戸時代になると、怪異の情報は江戸へと集められて、名前をつけて分類し、妖怪たちは「化物」(ばけもの)として図鑑化されます。

 その一方で近世後期の江戸は、妖怪が属する自然界よりも、お金の論理が強い社会となっていたために、妖怪たちは現実の恐怖ではなく、架空のキャラクター商品として、庶民や子ども向けの刷り物で使われるようになります。

 玩具(おもちゃ絵)といって、かるたやシールのように切り離して遊ぶ刷り絵も登場しました。まるで現代の子ども達が夢中になる、カードゲームの玩具のようです。 

 今回の「妖怪展」は妖怪資料だけではなく、恐ろしい妖怪たちを生み出す背景となった、異形の神仏、自然界の怪異、生と死の不可思議さといった、かつて人々が恐れ、不安をいただいてきた未知の世界や存在についても紹介します。(学芸主査 小山隆秀)

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  ↑「津軽に出現した化け物」 東北大学附属図書館蔵『姫國山海録』


by aomori-kyodokan | 2009-09-18 15:19 | 妖怪
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