↑百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)の部分
近世 東北大学附属図書館狩野文庫蔵 写本 絵巻 彩色図
百鬼夜行とは、深夜、京の大路を徘徊する、異様な姿の様々なもののけ、化け物の集団と考えられて、12世紀の仏教説話「今昔物語」や公家の日記にも登場します。仏教や陰陽道の影響で生まれた存在と考えられ、もともとは姿かたちのない存在、または鬼の姿として認識されていましたが、室町時代から「
百鬼夜行絵巻」のなかで、道具や動物たちが変化した「
付喪(つくも)神」や化け物たちとして図像化されるようになり、16世紀以降、各地に写本が流布しました。これらの百鬼夜行図に登場する化け物たちは、未だに個別の名前を与えられておらず、器物や動物、人間の変化(へんげ)、鬼などが混然一体となった集団として表現されていることがわかります。
百鬼夜行図のルーツや成立の背景については、近年、本格的な研究が始まったばかりであり、平安時代から鎌倉時代に描かれた「
鳥獣人物戯画」や、室町時代から江戸時代にかけての「
お伽草子」の絵画表現にも影響を受けたことが推測されています。「百鬼夜行絵巻」の源流を探るうえで、比較研究の規準として多用されてきたのが、室町時代に描かれた「百鬼夜行絵巻」(伝土佐光信画、京都大徳寺真珠庵蔵)ですが、本資料はそれとも少し異なる表現が見受けられます。
全体のパノラマは、こちらからご覧になれます。もちろん、会場には実物を展示していますので、ご来場の上、とくとご覧下さい。
また、ネット公開されている「
百鬼夜行絵巻(百鬼ノ圖)」(国際日本文化研究センター所蔵)と比較してみると、それぞれの違いがわかって面白い。
↑登場する各妖怪を個々にに分解し、スライドショーにしてみました。それぞれの特徴がよくつかめます。こんなにもたくさんの個性的な妖怪が描かれていたのかと、驚かされます。